第9回 オブジェクトストレージをより良く動かすサイジングのツボクラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方(2/2 ページ)

» 2016年01月27日 08時00分 公開
前のページへ 1|2       

ネットワークに関する注意点の補足

 上記の「スループットの拡張性」で「ネットワークの帯域幅が全体の性能を制限することがある」と記載しましたが、もう少し詳しく解説します。

 ネットワークは従来のトポロジーを使う必要性があるため、オブジェクトストレージを構築する際に、スイッチやファイアウオールなどに対して、ハードウェアとその構成が適切かどうかを確認しておく必要があります。なお、ネットワークは幾つかのセグメントに分けて考えます(下図参照)。

クライアントティア側ネットワーク

 まずはクライアント側のネットワークです。APIアクセスで、プロキシや認証サービスなどを行います。ここにはロードバランサが使われることが多いのですが、ロードバランサを使わない場合はクライアントティア側の負荷を、どのように空きサーバに配分するかを考慮します。

ストレージティア側ネットワーク

 こちらのネットワークは、アクセスティアとストレージティア間のネットワークになります。この帯域もオブジェクトストレージの冗長手法により異なります。レプリケーションを選ぶ場合は、同じデータが3カ所のストレージノードに記録されるため、例えば3Gbpsのデータの書き込みには、3倍の9Gbpsのネットワーク帯域が必要です。

ハードウェア管理ネットワーク

 当社の場合なら「iLO」というサーバ管理ツールがありますが、一般的にハードウェア管理ネットワークには高い帯域は求められません。ただし、「ノード数が多くなる」「アクセス頻度が高くなる」といった場合には考慮が必要でしょう。

図:オブジェクトストレージの基本的アーキテクチャ

 次回は従来のレプリケーション(単純ミラー)に比べて飛躍的にオーバーヘッドを削減できる技術、「イレージャーコーディング(EC):消失訂正符号」について解説します。

著者:井上陽治(いのうえ・ようじ)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 ストレージテクノロジーエバンジェリスト。ストレージ技術の最先端を研究、開発を推進。IT業界でハード設計10年、HPでテープストレージスペシャリストを15年経験したのち、現在SDS(Software Defined Storage)スペシャリスト。次世代ストレージ基盤、特にSDSや大容量アーカイブの提案を行う。テープストレージ、LTFS 関連技術に精通し、JEITAのテープストレージ専門委員会副会長を務める。大容量データの長期保管が必要な放送 映像業界、学術研究分野の知識も豊富に有する。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ