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» 2016年02月01日 08時30分 UPDATE

「金融業のクラウド化は危険」という時代は終わった――金融大手オリックスが「Office 365」を選んだ理由

これまで「クラウド化が難しい」といわれてきた金融業界に変化の波が起こっている。大手金融系企業のクラウド導入が相次いでいるのだ。業界でもトップクラスのセキュリティ要件が求められるこの業界で、なぜ、クラウドが認められるようになったのか。オリックスの事例から探ってみよう。

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 個人や企業の“センシティブな情報”を扱うことから、これまで「クラウド化が難しい」といわれてきた金融業。そうした定説が今、崩れつつある。大手金融系企業の導入が相次いでいるのだ。

 オリックスグループもクラウド化に踏み切った金融系企業の1社。リースや融資、生命保険をはじめとする金融サービスから環境エネルギーサービス、不動産関連サービスまで、多種多様な事業を展開するグループ企業として知られる同社は、スピード経営と業務効率化を目指して“グループウェアのクラウド化”に舵を切った。

 オリックスを納得させたのは、どんな条件に対応し、どんな機能を備えたクラウドサービスだったのか――。同社が「Office 365」を選ぶまでの経緯と導入効果を聞いた。

「業務を効率化したい」――現場の強い思いが、移行の“原動力”に

Photo オリックスの業務改革室で課長を務める井上みゆき氏

 今回の導入プロジェクトは、きっかけこそLotus Notesのサポート終了対策だったが、推進の原動力となったのは、業務現場の「仕事を効率化したい、時間の使い方を変えたい」という強い思いだったという。

 「Notes時代、オリックスの業務現場にはさまざまな課題があった」――。スタート時からプロジェクトに携わってきたオリックス 業務改革室課長の井上みゆき氏は、当時の様子をこう振り返る。

 中でも大きかったのは情報共有の課題だ。同社では情報共有手段として、NotesをベースとするメールシステムとOAサーバを使ってきたが、「OAサーバは部門を超えた共有がしづらく、Notesのデータベースは一定の容量を超えると共有しづらい」という問題があったという。その結果、スタッフが“その時々で使いやすい”手段を選択することになり、「あちこちに同じファイルが作られて、どれが最新なのかが分からない」状態が起こるようになった。

 こうした事情から同社では、部門をまたいだ情報のやりとりの多くをメールで行っていたが、ここにも課題があった。1人あたりのメールの容量が少なく、あっというまに上限に達してしまうのだ。従業員のアンケートで“あなたは1週間にどれくらいの時間をメールの削除に使っているか”と聞いたところ、平均で30分もの時間を使っていることが判明したという。

 「消しすぎて大切なメールを見落とす、という機会損失につながる事態も起こっていました。部長クラスに対するアンケートでも、“対応すべきメールを見落としたことがある”という回答が75%に達していたのです」(井上氏)

 ほかにも、「席から離れるとメールすら見ることができない」というモビリティ面の問題が深刻になっていたことから、グループウェア移行の流れが加速。2013年に「業務変革プロジェクト」が立ち上がり、業務部門の声を重視した製品選定が始まった。

 製品選定にあたっては、「他社の導入事例」を徹底的に研究したと井上氏。候補に上がったグループウェアの導入企業50社に対するヒアリングを行ったという。

 当初は“既存資産であるNotesからどのように移行したか”に注目していたが、事例研究を進めるうちに「働き方の改革に注目するのが得策だと分かった」(井上氏)という。

 「実際に、“Notesをなくす”という視点ではなく、“ツールを変えることで、どんな風に働き方やコミュニケーションが変わるか”という視点で話すと、現場の反論も少なかったですね」(同)

現場からの必要条件は「セキュリティ」

 今回のグループウェアの選定で同社が最重要視したのがセキュリティだ。新たなツールの導入で「業務の効率化や働き方の変革につながるいろいろなことを試してみたい」という声が挙がってはいたものの、その大前提として「セキュリティ面で信頼がおけること」が必要条件となっていたからだ。

 「マネジメントは、『部下が意識せずとも情報を守れる形にしてほしい』と考えていましたし、営業職も『オリックスのセキュリティは信頼できる』という点をお客さまにアピールできることが重要と考えていました」(井上氏)

 さらに同社の場合、金融情報システムセンター(FISC:The Center for Financial Industry Information Systems)への対応という課題もあった。金融関連事業を手掛けるグループ会社を擁していることから、採用するシステムが安全であるかどうかを確認しなければならない。「FISCの安全対策基準をクリアできているかどうかが、今後のシステム構築に影響するので、ここは重視しました」(同)

Office 365の導入を決断した理由

Photo オリックスで業務改革室長を務める飯島正純氏

 さまざまなニーズや要件を検討した結果、オリックスはマイクロソフトのクラウド型グループウェアの「Office 365」の採用を決定。2015年11月から、オリックス生命とオリックス・システムの2社約3300人に先行導入を開始し、2016年5月の全社展開を目指している。

 業務改革室長を務める飯島正純氏によると、オリックスがOffice 365の採用に踏み切るには幾つかの要因があった。

 1つ目は、ユーザーである従業員の同意が得られたことだ。同社では2015年1月から、主に営業と管理部門の代表者を対象とする130人規模のパイロットプログラムを実施した。

 「何度もマイクロソフト本社に足を運び、疑問に思う点は“根掘り葉掘り聞きながら”試しました。“そこまで深く試した結果の同意である”のは重要なポイントといえるでしょう。自席からはなれてもメールが確認でき最新のOfficeアプリケーションが使えるというのは現場にとって大きな魅力だったと思います」

 2つ目は、オリックスのセキュリティ要件を満たす製品であったことだ。「データセンターが日本にあること、情報単位でデータを守れるRights Management Services(RMS)が利用でき、そして何より“閉域網”での接続が可能なこと――。これが決定打になりました」(井上氏)

 FISC対応についても、マイクロソフトの担当者がオリックスと密接に連絡を取り、相談に応じてくれたところが決め手になったという。マイクロソフトは既にWeb上にも「金融機関等のコンピュータシステムの安全対策基準に対する マイクロソフト クラウド サービス(Office 365、Microsoft Azure、Dynamics CRM Online)対応状況リスト」を掲載しており、この点も評価できる点だった。

チームワークに磨きをかける――「オリックス×Office 365」のこれから

 オリックスにとって「情報共有」は命題であり、企業としての本質がここにあるという。「経験値の共有」――従業員の知恵を融合させ、グループウェアを使い加速、定着、展開させることがOffice 365に課せられた課題だ。

 「オリックスのビジネスの進め方で最も大きな特長は、複数のグループ会社が緊密に連携した“グループ経営”を行っている点にあります。オリックスの強みは、チームプレイ。Office 365のさまざまな機能を使ってビジネスのレベルを上げ、生産性を向上することを目標としています」(飯島氏)

 同社は、Office 365で実現する“ワークスタイル変革”にも期待しており、「Skype for Business」を使ったムダのないコミュニケーション、OneDrive for Businessを使った安全なファイル共有、さらにはWindowsタブレットを利用したモバイルワークなどの検討が始まろうとしている。


 オリックスの事例から分かるのは、“金融系企業のクラウドに対する拒否反応”は、もはや“過去のもの”となっていること。50社以上の企業事例を研究したオリックスの“クラウド選びの過程”は、あなたの企業にとっても参考になるのではないだろうか。

Photo Office 365の導入プロジェクトのメンバー。さまざまな課題をチームワークで乗り越えた

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2016年2月17日

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