従来比50倍超の高速検索 富士通研、部分画像検索技術を開発

膨大なデータの中から欲しい画像を効果的に探し出す場合に役立つという。

» 2016年02月04日 15時40分 公開
[ITmedia]

 富士通研究所が、大量の画像の中から瞬時に目的の画像を検索する技術を開発した。

 企業などでは、プレゼンテーション資料などの図や写真を含む大量の文書が日々生成、蓄積されており、こうした膨大なデータの中から欲しい画像を効果的に探し出す場合に役立つという。

汎用サーバの50倍以上の処理能力で検索

 この技術は、大量の画像の中から指定した画像について、部分的にでも一致する画像を高速に検索できるもの。汎用サーバで検索する場合と比べて50倍以上の処理能力向上を確認している。

Photo 文書検索システムへの適用結果

 画像検索では、曖昧な記憶や大まかなイメージから画像を探し出すことが多い。画像そのものを検索キーとして検索画像の一部に一致する画像を探し出す技術を部分画像検索といい、直感的に目的の画像を検索していくことが可能になる。

 しかし、部分画像検索の処理には膨大な演算が必要で、汎用サーバを使った場合には、1万枚程度の画像の中から目的の画像を検索するのに1分以上の時間がかかっていた。多数のサーバを用いて並列・分散処理を行うことで、検索速度を向上させることができるが、消費電力や装置コストが膨大になるという課題があった。

 今回開発された技術は、画像検索に必要な処理を行うアクセラレータを、製造後に回路構成をプログラム可能な汎用デバイスであるFPGAに実装することで実現した。

 CPU上のソフトウェアと効率よく連携することでサーバの性能を飛躍的に向上できた。試作サーバでは、1万枚以上の画像データベースから検索画像の任意の部分に一致する画像を1秒程度で検索できることを確認できた。

 FPGAを活用して高性能を実現するためには、複雑な処理をまとめて実行する高効率な演算器をFPGA内に高密度に敷き詰めて、さらにその演算器を休ませないようにデータを供給して動作させることが鍵となる。

 今回開発された技術では、CPU、GPUに比べ演算の特性に合わせて演算器や並列度を柔軟に構成できるFPGAの特性を生かし、それぞれの処理について小型で高効率な演算器を設計して、高並列・高密度に実装した。

 また、データの先読みを行いつつ、演算処理の結果から次に行う処理の対象が変わっても、状況に応じて処理順序の入れ替えを行い、読み出したデータが無駄にならないように制御するスケジューリング技術も開発した。

Photo 処理フロー最適化の一例

 富士通研究所では、今回開発した高速画像検索技術を利用したシステムの開発を進め、2016年度中の実用化を目指す。

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