例:現状1ぺタバイト、、年率50%増加
意外とできていないのが、現状のデータ容量の把握と今後のデータ量の増加率予想です。このステップをきちんと実施していかなければ、近い将来のITコストに大きなインパクトを与える可能性が高いといえます。
例えば、膨大な実験データの保管先としてオブジェクトストレージを活用してきた研究機関などでは、研究予算と技術改善の予測値から大まかな将来のデータ量を推定できるでしょう。一方、これまで構造化データだけを処理していた多くの企業の場合はどうでしょうか。
今後IoTデータやビッグデータの活用が求められる一般企業ではこれらの増え続けるデジタルデータの保管に関しての経験はあまりないでしょう。予測も極めて困難で、予想以上にデータ量が増えることが想定されます。実際にビッグデータ活用をしていない企業でさえも、「捨てられないデータ」に苦慮していて、当初投入したストレージの拡張性の制限や、追加購入のコスト、保守コストなどで悩まされているケースが非常に多くなってきています。今後、より先を見越したストレージの選択、導入をしていく必要があるでしょう。
例:自然災害などからのデータ保護を目的に、北米、アジア、ヨーロッパの3拠点に同一データを保存
自然災害に対するデータ保護、DR(Disaster Recovery)にオブジェクトストレージは向いています。同じデータを世界中の複数カ所へ簡単に配置でき、どこからも読み出せるという特徴はバックアップ、DRに非常にマッチしているでしょう。また、グローバルに拠点を持つ企業でも利用価値は高いと考えられています。
例えば、ある映画制作会社では世界3拠点でデータを共有していますが、そのデータをオブジェクトストレージで共有できれば、4Kから8Kに移行しても、増え続けるデジタルデータを安全にかつ低コストに保管することができます。
次回は残るチェックポイント6〜10について解説します。
日本ヒューレット・パッカード株式会社 ストレージテクノロジーエバンジェリスト。ストレージ技術の最先端を研究、開発を推進。IT業界でハード設計10年、HPでテープストレージスペシャリストを15年経験したのち、現在SDS(Software Defined Storage)スペシャリスト。次世代ストレージ基盤、特にSDSや大容量アーカイブの提案を行う。テープストレージ、LTFS 関連技術に精通し、JEITAのテープストレージ専門委員会副会長を務める。大容量データの長期保管が必要な放送 映像業界、学術研究分野の知識も豊富に有する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.