24時間365日“いつでも使える銀行”を目指す、ジャパンネット銀行の挑戦DBサーバを増やしたのにコスト減?(2/3 ページ)

» 2016年03月14日 07時30分 公開
[池田憲弘ITmedia]

DBサーバの“3重化”でメンテナンス時間が激減

photo ジャパンネット銀行 IT本部 開発二部 副部長 宮本昌明さん

 システム改修の検討を始めたのは2012年ごろ。当時は2カ月ごとに全システムを3時間(1年で18時間)停止していた。顧客への告知はWeb上やメールで行っていたという。どのようなシステムを組めばメンテナンス時間を削減できるのか。まずは、費用や実現可能性を考慮せずに部署全体でアイデアを出し合ったという。

 「ベンダーの方からの提案も受けていたのですが、代行元帳を作る、2センター方式にするなど、膨大な費用がかかるプランが多く、自分たちでシステム構成を新しく考えることにしました。全部で7案ぐらい出し、それぞれの評価項目や基準を作っていきました。思えば、ここが最も大変な作業だったと思います」(坪川さん)

 そうして彼らが至った結論がDBサーバの3重化だ。今まで2台で運用していたDBサーバを3台に増やした。メンテナンス作業を1台ずつ順次実施し、常に残り2台で冗長構成を保つことによりサービスの無停止を実現したという。その上で、どうすればメンテナンスの作業を減らせるかという課題にも向き合った。

 「『なぜシステムを3時間止めているのか』という点を徹底的に突き詰めました。データベーステーブルの確認、ハードウェアの点検、バッチ処理の確認など、1つ1つの作業を整理して見直した結果、全システムの停止が必要なパッチ作業を行う以外はシステムを止めずに作業が行えるという結論に至りました」(同開発二部 副部長 宮本昌明さん)

 この3重化したDBサーバを2系統用意し、全台停止が必要な場合は系統を切り替えるという。切り替え作業は年1回程度で15分以内で実施する。さらに15分のマージンを加えた30分がシステムの停止――つまりはメンテナンスの時間となる。短時間で系統を切り替えるために、作業はオペレーターの判断が不要な全自動処理にしているそうだ。

photo システムの構成図。障害発生時に備えてWebサーバやAPサーバを3つの並列構成に、DBサーバや元帳を2系統にしている

 システム構成が決まって要件定義を始めたのは、2013年8月ごろ。そこから先はテストを含めて順調に進んだという。2015年7月には本番稼働の準備が整い、計3回の切り替えテストを実施。いずれも10分以内で系統を切り替えられ、トラブルも起こっていないという。

 メンテナンス時間は飛躍的に短くなったとはいえ、DBサーバを2台買い足しているため、コストは大きく増えているようにも見える。しかし「3重構成にしたことで逆に安くなったんです」と坪川さんは話す。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ