24時間365日“いつでも使える銀行”を目指す、ジャパンネット銀行の挑戦DBサーバを増やしたのにコスト減?(3/3 ページ)

» 2016年03月14日 07時30分 公開
[池田憲弘ITmedia]
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サーバのコア数が減り、ランニングコストが大きく減少

 ジャパンネット銀行のデータベースはOracle Databaseを採用しており、データベースサーバもオラクルの製品を使っているが、3重構成にしたことで最終的にコア数が減り、ライセンス料金を始めとするランニングコストが下がったのだという。

 「例えば、システムを十分なスピードで動かすのに4コアが必要だとしましょう。冗長構成にしているので2重構成の場合、全部で8コア(4+4)が必要です。3重構成の場合、1台が止まっても2台で冗長構成が組めるので、そこで4コアが稼働すればよい。なので1台あたり2コアでよくなり、計6コア(2+2+2)で済みます。

 その上、システム全体で効率的なリソース活用ができるようになりました。これがDBサーバ2台の価格を超える効果を生み、全体ではコストダウンになったのです。まあ、ライセンス料がそれだけ高いということでもあるんですけれども(笑)」(坪川さん)

 システム改修当初は、コスト増を理由に慎重な見方を示していた経営陣もいたが、コストを抑えたことで彼らも納得し、スムーズにプロジェクトを進められたという。メンテナンス時間が減ったことによる利用者の増減については、これから精査していくとのことだ。

“止まらない銀行”への挑戦は続く

 今後はATM取引やVisaデビット取引についても、2017年度中に無停止稼働ができるよう既に動き始めている。

 「私たちがシステム無停止で目指しているのは“止まらない銀行”というブランドです。他の銀行はコストとの兼ね合いなどで、やや腰が引けているのではないでしょうか。実際に無停止のシステムを目指すなら、会社としての目的意識や経営陣のリスク把握、そして情シス部門がリスクの説明を徹底することが大事になってくるでしょう」(坪川さん)

photo 勘定系システムの無停止稼働を実現し、今後はATMやVisaデビットについても無停止稼働を目指すという

 無停止かつリアルタイムな決済が求められているのは、何もジャパンネット銀行だけではない。日本での口座振り込みの場合、即時決済できるのは平日の9時〜15時までの6時間に限られ、それ以降は翌営業日のバッチ処理となる。これは、現在の銀行間決済システム(全銀システム)の仕様によるものだ。

 これを問題視した全国銀行協会は、新たな決済システムを導入し、2018年度から稼働させるよう計画している。国際的にも24時間のリアルタイム決済サービスの導入は進んでいるという。こうした動きに先駆けて動いたジャパンネット銀行。ベンダーに頼りきらずコストと効果をうまくバランスさせ、経営陣を納得させた情報システム部門の動きに学ぶところは多いだろう。

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