Apple、米司法省の審問中止申請を受け「さらなる議論を続ける」と声明

米司法省がFBIへのAppleの協力が不要になったとして法廷審問の中止を地裁に要請したことを受け、Appleが「今後もセキュリティとプライバシーに関する国家的な議論に参加していく」という声明を発表した。

» 2016年03月29日 13時24分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米司法省が3月28日(現地時間)、米連邦地裁にAppleへの捜査協力命令が不要になったという状況報告書を提出したことを受け、米Appleが米メディア各社に以下のような声明文を送った。

最初から、われわれは米連邦捜査局(FBI)からのiPhoneのバックドアを構築しろという要求に反対だった。なぜならそれは間違ったことであり、危険な先例を作ることになると信じていたからだ。政府による訴訟取り下げにより、バックドアの作成も危険な先例も回避された。この訴訟はそもそも起こされるべきではなかった。

われわれは今後もこれまで通り捜査当局に協力していく。また、データへの攻撃がより頻繁に、より高度になっていく中で、製品のセキュリティをさらに強化していく。

Appleは、米国および世界の人々はデータ保護、セキュリティ、プライバシーを確保する権利があると深く信じている。いずれか1つを守るために他を犠牲にすることは、人々および国々をより大きな危険にさらすことにしかならない。

今回取り下げられた訴訟は、人権擁護、セキュリティ、プライバシーに関する国家規模の議論に値する問題を提起した。Appleは今後もこの議論への参加を続けていく。

 Appleが捜査協力命令を拒否したことに関する法廷審問は2月22日に予定されていたが、直前になって司法省がAppleの協力がなくても捜査に必要なiPhoneのロックを解除できそうだとして審問の延期を申請。司法省は28日、第三者の協力によってロック解除ができたので審問を中止するよう連邦地裁に申請した。申請文書には、ロック解除の方法などの詳細は記されていないが、サン電子傘下のイスラエル企業Cellebriteの技術が採用されたとうわさされている

 Appleや同社を支持する米MicrosoftなどのIT企業大手は、この問題を契機に、司法省が今回の命令の拠り所としている「All Writs Act」(全令状法)の改定に関する国家的議論を展開しようとしていた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ