情報漏えい対策の“潮目”は“外から内”に――デジタルアーツ道具社長Maker's Voice

セキュリティ対策ではサイバー攻撃など外部脅威がよく話題に上るが、デジタルアーツの道具登志夫社長は「情報を守る本来の意識に変わってきた」と話す。

» 2016年04月05日 11時30分 公開
[國谷武史ITmedia]

 「2014年末から情報セキュリティの潮目が変わってきた」。国産セキュリティソフトメーカー、デジタルアーツの道具登志夫社長は、従業員による大規模な情報漏えい事件が発生した2014年以降、企業の情報セキュリティ対策の傾向に変化が生じたと語る。

 同社の主力製品はWebフィルタリングやメールセキュリティだが、近年はファイルセキュリティソフト「FinalCode」が伸びつつあるという。2014年には同製品の海外展開を手掛ける子会社を米国に設立、2016年3月にはBoxとも提携した。

デジタルアーツの道具登志夫社長

 様々な統計をみると、企業や組織で発生する情報漏えいの多くは、情報を保存した端末の紛失や盗難、メールの誤送信、文書の誤廃棄、従業員の不正な持ち出しといった内部に起因する。「従来のセキュリティ対策では外からの攻撃を防ぐことができない状況もあり、企業内の対策の重要性が認識され始めた。情報自体を守ることで、侵入されたり攻撃されたりしても影響が無いようにする対策に視点に向きつつある」(道具氏)

 道具氏は、企業で情報を扱う機会のほとんどはインターネットやメール、ファイル作成となることから、同社がこの3つのセキュリティ対策に集中してきたと語る。従来は製品単体での販売が中心だったが、上述の変化を受けて近年は製品を組み合わせたソリューションニーズが拡大した。特にBoxのサービスと連携するFinalCodeは、オンラインでのファイルの共有から追跡、消去までをカバーしたことで、大企業からの引き合いが増えつつあるという。

 これを受けて同社は4月1日から大企業顧客向けの営業体制を強化。情報セキュリティと経営戦略やIT戦略のコンサルティングを大企業向けに手掛ける子会社「デジタルアーツコンサルティング」も設立した。

 「どこでもインターネットにつながる環境が普及したことで、クラウドを使って情報を活用するシーンが広まりつつある。FinalCodeもそうした変化が起きなければ、必要性は高まらなかったかもしれない。企業の関係者が情報を悪用できない対策なら、外側の攻撃者も悪用できない対策になる」(道具氏)

 2016年度の事業は国内市場での収益拡大と海外市場での収益化を推進し、2けた成長を目指す。「今後も情報に対する脅威の変化へスピーディーに対応しながら安全を提供するメーカーでありたい」(道具氏)

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