増え続けるデータをビジネス変革に――コグニティブ時代にあるべきデータ基盤とは

データによってビジネスが大きく変化しようとしている今、ストレージは生まれ変わるタイミングに来ている――。そう話すIBMが今、最も注力しているのが「SDS」と「フラッシュストレージ」だ。コグニティブとAPIがビジネスをけん引する時代において、最もふさわしいストレージの姿なのだという。その理由とは?

» 2016年04月14日 10時00分 公開
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 企業は、顧客の動向やニーズを予測・把握し、ニーズに合った製品・サービスの開発や優れた顧客体験の提供を実現しようと努力している。他社との差別化を図るためには、どのようなデータを集め、顧客動向やニーズをどれだけ早く予測・把握できるかがカギを握ることになる。

 その実現に向けて、ビッグデータや人工知能、IoT(Internet of Things)など、エンタープライズITの世界でデータ活用がトレンドとなって久しい。最近では、センサーからのデータ収集や分析技術の進化に注目が集まりがちだが、取得と分析の間にある“データの蓄積”も重要なファクターだ。

 実はストレージの技術もここ数年で大きく進化している。高速性能と大容量、経済性を実現するストレージへのニーズが急速に高まっているためだ。

 「お客さまを訪問すると、ストレージ容量の不足や、再利用の予定がないことを理由にデータを捨てているという話をよく聞きます。データが生み出す価値によってビジネスが大きく変化しようとしている今、貴重なデータを最大限に活用できるよう、ストレージは生まれ変わるタイミングに来ているのです。特に、自社で蓄積されるデータは差別化要因を創り出す重要なコア資産であり、分析の結果に大きな影響を与えます」

 こう話すのは、日本IBMでストレージ・システム事業部の事業部長を務める波多野敦氏。データを蓄積する“ストレージ”という分野においては、IBMは100年以上前から市場をけん引してきた老舗である。

 1950年代には、IBMは現在主流のHDDや、省スペースで大容量データの長期保管に適した磁気テープを開発するなど、社会のニーズに応える形で時代の先端を行くストレージ技術を市場に投入してきた。そしてHDDの登場から50年以上たった今、IBMは新たなテクノロジーでストレージ市場に大きな変化を引き起こしつつある。

photo IBMのストレージ研究開発の歴史。時代やビジネスに合わせ、ストレージ・ソリューションを提供してきた

コグニティブ時代にカギを握る「APIエコノミー」

photo 日本アイ・ビー・エム IBMシステムズ・ハードウェア事業本部 ストレージ・システム事業部長 波多野敦氏

 「IBMのコグニティブ・コンピューティング『IBM Watson』は、従来の構造化データに加え、これまで活用が難しかった非構造化データも理解し、データに基づく迅速な意思決定の支援とビジネス価値の向上を導き出します。IBMはこの“コグニティブ・ビジネス”を事業の主軸に位置付けています。

 コグニティブ・ビジネスは、ビジネス領域を拡大するパートナー企業を含む、社内外のデータから得られる洞察によって、新たなビジネス価値を創造していきます。今後のビジネス成長には、こうした“企業横断的”な要素が重要だと考えています。

 しかし、各社のデータ蓄積が従来のようにハードウェアによる制約を受けるようであっては、思うようにデータの連携や活用が進まず、データからの洞察を最大限に導き出すのは難しいでしょう。先進的な企業は、新しいテクノロジーを積極的に自社のITインフラに採用し、新たな領域でのビジネス価値創造と競争力強化を進めています」(波多野氏)

 自社だけではなく、他社や顧客を巻き込んでデータをつなぎ、ビジネスを発展させていく――。この考え方は、昨今話題になっている新たなビジネスモデル「APIエコノミー」に通ずるものがある。これは、企業がAPIを公開して各社が所有するデータへのアクセスを可能にすることで、つながれた企業が新たな経済圏を生み出していくという考え方だ。

 従来の業務システムが取り扱うデータだけでなく、提携した企業の顧客データや、クラウド上で展開されるソーシャル・サービスなどのデータをAPIで利用し、仮想的に1つのデータの集まりを定義する。そうした膨大なデータを分析し、新たなビジネス価値の創出やサービスを提供する個客接点システムで活用する――。北米中心に広がりを見せつつあるこの動きが、今後日本でも徐々に浸透していくと波多野氏はみる。

 ただし、APIエコノミーによって他社が所有するデータとの連携を行うには、自社データの価値を認めてもらうだけでなく、それに耐え得るデータ基盤が不可欠だ。いつでも、そして高速にデータへのアクセスができることや、ガバナンスやセキュリティの確保も重要視される。

 このAPIエコノミーの世界を実現する上で、カギを握る新しいストレージ技術が「SDS(Software Defined Storage)」と「フラッシュストレージ」なのだという。

photo 企業がAPIを公開して、各社が所有するデータへのアクセスを可能にすることで、つながれた企業が新たな経済圏を生み出していくモデルが北米を中心に広がっている

SDSは膨大な“データの蓄積”には必須の技術

 さまざまなデータの効率的な保管・利用を実現するSDSについてもIBMは実績のある製品を提供している。それが従来の製品ラインアップを見直し、2015年に新しいファミリーとして体系化した「IBM Spectrum Storage」だ。

 「SDSについては各ベンダーで解釈が異なっており、一部では安価なストレージを作るための技術と表現されているケースもあります。IBMはSDSをマルチクラウドをスムーズに接続するために必要な仕組みだと捉えています」(波多野氏)

 企業は、ビジネス規模の拡大とともに社内にデータが分散し、データの管理や全社的な利用にあたり、ガバナンスやセキュリティ、データの鮮度や整合性に課題を抱えるようになってきている。さらに企業がパブリッククラウドの利用を開始し、自社データがハイブリッドな環境に存在するようになると、課題の解決は一層困難を極める。

 「データの所在が物理的にバラバラなので、当然スピードがボトルネックになる場合があります。また、増殖を続けるNAS装置上のデータは、サイロ化された状態で存在しています。自社の所有するさまざまなデータを全社共通の仕組みで管理し、データが必要な時に適切なサービスレベルで適切な人がどこからでもアクセスできてこそ、データの利用価値を高めることになるわけです」(波多野氏)

 そうしたSDS製品の中でも最も実績があるのが、1997年に業界初のネットワーク分散ファイルシステムとして登場した「IBM Spectrum Scale(旧称:General Parallel File Systemテクノロジー)」だ。

 HPC分野を中心に500サイト以上の大規模な導入実績があり、営業・開発拠点が国内外に分散している企業や、積極的な海外展開を図っているグローバル企業での利用に最適だ。データ活用を推進するにあたってデータ基盤を見直す必要が生じたタイミングや、NASの増殖による悩みがピークに達したタイミングで検討を始める企業は多い。

 また、Spectrum Scaleはブロック、ファイル、オブジェクトなどの異なるデータタイプを一元的に保管し、異なるプロトコルでアクセスしてもデータを利用できるという柔軟性も備えている。このような柔軟なファイルシステムに構造化データ/非構造化データを全て統合することにより、グローバル・レベルでガバナンスやセキュリティを確保しつつ、データの効率的な利用が容易になるのだ。

 数十テラバイトから数百ペタバイトものデータ容量に対応し、フラッシュストレージからHDD搭載ストレージ、サーバベースのストレージ、テープ装置、クラウドサービスまで、データの特性に応じたデータの蓄積・管理・シームレスな移動を実現するSpectrum Storageソリューションは、まさにクラウド時代のストレージソリューションといえる。

3年連続トップシェアのフラッシュストレージがビジネスを加速する

 一方、IBMは、2012年に買収したTexas Memory Systems社のフラッシュストレージを企業の基幹業務システムでも使えるよう、高速性はそのままに堅牢性・信頼性・安定性を高めた「IBM FlashSystem」を2013年に市場に投入。これにより、企業は、高速性が求められる分析アプリケーションだけでなく、データベースやトランザクション処理にも利用できる武器を手に入れられるようになった。

 長年利用してきたHDD搭載ストレージをFlashSystemに置き換えるだけで、“ストレージがアプリケーションのボトルネックになる”という課題を解決できるうえ、手間と経験が必要なストレージの設計もほぼ必要なくなる。

 「IBMは『HDD互換』であるSSDならではの課題を解消し、より高速で堅牢性、信頼性、安定性に優れたオールフラッシュストレージFlashSystemを提供しています。最近では、障害時にも稼働し続けられる工夫が凝らされたFlashSystemの可用性や保守性を評価いただき、データベース基盤を中心に採用いただいています。中には、データセンターを丸ごとオールフラッシュストレージを採用する事例も出てきています」(波多野氏)

 ビジネス面も好調だ。日本国内におけるオールフラッシュアレイ市場の出荷金額(IDC Japan調べ)で同社は2013年から2015年の3年間トップシェアを独走。3年間の出荷金額累計は市場全体の40%を超えるまでになっている。数年以内にHDD搭載ストレージとフラッシュストレージの立場が入れ替わるとの市場予測もあるが、その動きを先導しているのがIBM FlashSystemなのだ。

photo 日本国内におけるオールフラッシュストレージ・アレイ市場 出荷金額累計金額の推移、単位は百万円(IDC Worldwide Quarterly Enterprise Storage Systems Tracker 2015Q4 に基づきIBMで集計)

 「フラッシュストレージ」と「SDS」によってストレージの姿は変わろうとしているが、この進化は、従来のストレージの延長線ではないというのがIBMの考えだ。つまり、今後の新たなビジネス成長を支えるIT基盤に不可欠なテクノロジーとして、フラッシュストレージやSDSが選ばれていくだろうという、ニーズベースの発想といえる。

 そうした時代――すなわち、コグニティブ・ビジネスの時代に向けたデータ基盤を確立するために、IBMではSDSへ1200億円、そしてフラッシュストレージにも1200億円もの莫大な投資を行っており、その効果は徐々に具体化しつつある。

photo IBM FlashSystem V9000(クリックで拡大)

 「IBMは2008年以降、ティアレスストレージのXIV社、重複排除のDiligent Technologies社、リアルタイム圧縮のStorwize社、オールフラッシュストレージのTexas Memory Systems社、オブジェクトストレージのCleversafe社といったストレージ関連企業を次々と買収し、先を見据えたテクノロジーを選択してポートフォリオを強化してきました。

 IBMがお客さまにお届けするオールフラッシュストレージは、これらのテクノロジーを融合したものであり、私たちは“全部入り”の製品と呼んでいます。例えば、FlashSystem V9000は、FlashSystem 900にSpectrum Virtualizeを融合させ、オールフラッシュストレージで仮想化やリアルタイム圧縮を可能にしています。そうすると、HDDと変わらない容量単価でオールフラッシュストレージが使えるようになります。今後は、より多くの業界、より多様な用途でFlashSystemを利用いただけるよう、さらに魅力的な製品を提供していきますので、ぜひご期待ください」(波多野氏)

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2016年5月13日

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