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» 2016年04月15日 08時00分 公開

テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」:第42回 コストセンターと見なされる日本的プリセールス (1/2)

SEなどのステップアップ先に位置付けられることが多い「プリセールス」ですが、日本では「営業支援」的な役割とみなされがち。そんなイメージをどうすれば打破できるのでしょうか。

[小川大地(日本ヒューレット・パッカード),ITmedia]
ここヘン

 前回、レアキャラ「プリセールス」の仕事について、組織の体制まで含めてご説明させていただきました。

 なぜ組織の話を持ち出したかというと、イメージが付きやすいというありきたりな理由もありますが、昨年プリセールスについてご紹介した際に、リアルな反響が大きかったためです。

 「うちの会社もプリセールス組織を作ろうと思うんだよね」「プリセールス部を作ろうと思うんだけど、役員がなかなか認めてくれないんだよね」といった相談を実際にいただきました。

 昨今、欧米や外資系企業で当たり前のプリセールス組織を日本で作るには、何に注意すれば良いでしょうか。今回はこの点から日本の“ここ変”に紐づけていきたいと思います。

プリセールス部隊結成に対する反論

 日本でプリセールス部隊を作ろうとすると、次のような意見や反発が出るそうです。特に、メーカーではなくSIベンダーの場合はこの傾向が強いと聞いています。

  • 「構築チームのSEがそのまま提案した方が良いんじゃないの?」
  • 「営業やSEから人を引っ張ってまで特設する必要あるの?」

 以前の記事ではこれに対する反論として、「それだと最新技術での設計や優れた提案が難しい」という話をしました。これは少し現場寄りでの意見ですので、経営陣の立場になって考えてみましょう。まず懸念されるのが、SIベンダーとして自社の“商品”であるSE人材が減り、代わりに営業コストが増えるということです。

 実際のところ、プリセールスをコストセンターとみなすかどうかは難しいところですが、コストセンターと揶揄(やゆ)されないようにするには、自分でどんどん商談をまとめてこなければなりません。「営業×1人+構築SE×1人」でまとめ上げられそうな案件に同行するだけでは、プリセールスなんて必要ないという意見が出ても文句は言えません。これは営業マンを2人に増やすようなもので、経営側にとってみれば営業コストの増加に見えてしまうのです。

ここヘン 「プリセールスなんて、いなくても変わらない」とだけは言われないようにしたいところ

「プリセールスは営業サポート」という固定観念

 プリセールスが自ら商談をまとめてこなければならない―――この言葉に驚く方は結構いるのですが、これには2つの固定観念があるようです。

  • 「商談をまとめるのは営業の仕事」
  • 「プリセールスは営業支援が仕事」

 プリセールス組織を設立し、成功に導くためにはこの2つの固定観念を捨てなければならなりません。特に「営業支援」というのは言葉は、絶対に捨てるべきです。プリセールスチームの部署名を「営業支援チーム」とか「営業サポート部」などと名付けるのは避けましょう。

 “誰かの支援”“誰かのサポート”というように名付けてしまうと、「守り」の印象が強くなってしまいます。これは、自ら商談をまとめてこなければならない、案件を勝ち取ってこなければならないという、攻めの職業にとってモチベーションを上げづらいところ。日本のSIベンダーでは、PM(プロジェクトマネージャー)やコンサルタント・プリセールスなどがSEの上級職となっていますが、その中でプリセールスを選んだSEには多少なりとも“セールスマインド”があるはずです。そこに守りの印象のある部署名、役職を付けるのはもったいない。

 加えて、「○○支援」と名付けてしまうと、重要な、戦略的なチームとして組織したことを経営陣が忘れてしまう傾向にあります。会社の業績がダウンした場合に、リストラは無いまでも、“部署ごと消滅”しかねません――。

 「たかが名前……」「重要なのは中身」と言う意見もあるでしょう。名前なんてどうでも良いのであれば、逆に好きな名前を付けさせてもらうべきです。プリセールスは日本ではなじみが薄く、普段何をしているか分かりづらい。そんな中でコストセンターかのようなイメージを持たれてしまうのでは、良いことはありません。

ここヘン プリセールスは新卒募集せず、SEの上級職に置いていることも多い
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