Amazonが「Echo」というネット接続機能付きスピーカー端末を米国で発売しています。このEchoには、「Alexa」という人工知能が搭載され、話しかけると音声を認識し、指示された通り処理してくれます。
例えば、Amazonのショッピングサイトとつなぎ、「この商品をお気に入りに追加して」「(商品名)を注文して」「(作家名)の最新作をKindleに入れておいて」といえば、それで済んでしまいます。
また、AlexaはAmazonの「Fire TV」にも組み込まれて、「スター・ウォーズの最新作を見せて」と指示することもできるようになるそうです。さらに照明や空調の制御までできるようになっています。
外部サービスとの連携も期待されており、配車サービス「Uber」とつながれば、「車をよこしてくれ」というだけで自動車の手配をしてくれるようになるでしょう。また音楽配信サービス「Spotify」とつながれば、「(アーティスト名)の音楽を流して」などと指示すればその音楽を探して流してくれます。
このような“自然な対話”で指示ができるようになれば、難しい操作や面倒なキーボード入力は不要になり、そんな楽に使えるならそのサービスを使おう、その製品を買おうということになります。
音声認識ばかりでなく、画像認識、対話応答、自動翻訳など、人工知能は「特定の知的作業領域」では人間の能力に匹敵するかそれ以上の能力を発揮します。そんな能力を自社のサービスや製品に組み込み、競争力を高めることができるのです。
また、IoTやソーシャルメディアの普及は、膨大なデータ、すなわちビッグデータを生みだしています。しかし、ただ集めるだけでは何の役にも立ちません。そこにどのようなデータ相互の構造や規則性があるのかを解析し、洞察を得て、未来を予測することで、はじめて価値を生みだすことができます。人工知能はそのためにも使われます。
シンギュラリティの可能性を否定するわけではありませんが、むしろ情シスは、このような現実的な能力や役割に注目し、自社のシステムに取り込んでいくことを考えるべきなのです。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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