Facebookが米国で提供しているTwitterの「トレンド」のようなサービス「Trending Topic」が偏向しているという指摘を受け、トピックを選ぶ「レビュアー」のガイドラインを公開した。トピックはアルゴリズムだけでなくレビュアーの選択が入っているが、それは最良のコンテンツを提供するためとしている。
「FacebookはTrending Topicのレビュアーに対し、いかなる政治的立場の情報源であろうとも差別することを許したり、助言したりしていない」──。米Facebookでグローバルオペレーションおよびメディアパートナーシップ担当副社長を務めるジャスティン・オソフスキー氏は5月12日(現地時間)、自身のFacebook投稿でこう語った。
Trending Topicとは、同社が2014年1月に米国で開始したTwitterの「トレンド」のようなサービス。Facebookの説明によると「ユーザーがFacebook全体から最良のコンテンツを発見するために、ユーザーが興味を持ち、ユーザーに関連性の高い“会話”を表示するサービス」だ。日本では提供していない。
Trending Topicをめぐっては、米Gizmodoが9日、複数の元レビュアーに取材した暴露記事を掲載したことをきっかけに、政治的に偏向しているのではないかという波紋が広がっている。元レビュアーはGizmodoに対し、Facebookの従業員は「保守的な読者の興味をひくニュース記事をごく当たり前に排除」し、その一方で別の記事を「人為的」にトレンドリストに追加していると語ったという。
10日には同社の検索部門バイスプレジデント、トム・ストッキー氏が「匿名の告発が事実という証拠はない」と自身のFacebook上でコメントした。
オソフスキー氏の投稿はさらに詳細にTrending Topicに掲載するトピックの選び方を説明し、実際に使っているガイドライン(PDF)と情報ソースにしているメディアサイトのリスト(PDF)(アイティメディアも含まれている)を公開した。
Facebookが公開したガイドラインは、英Guardianが同日公開した、独自ルートで入手したというガイドラインと、かなり内容が違うようだ。どちらが実際に使われているものかは現段階では判断できないが、筆者が部分的に比較した範囲では、Guardian版ではレビュアーの判断にかなりの比重があるように見える。
オソフスキー氏は、トピックの選び方について次のように説明する。「トピック候補は、まずアルゴリズムがキーワードを抽出する。アルゴリズムは、Facebook内で急上昇中のキーワードだけでなく、情報ソースリストにあるWebサイトもクロールして解析する。こうしてアルゴリズムが集めたトピック候補を、人間のレビュアーがガイドラインに沿ってTrending Topicとして採用するかどうかを判断し、カテゴリー分けし、概要を添えて公開する」。
アルゴリズムだけでなく人力でトピックを選ぶ理由としては、例えば「LEGO」というキーワードが映画についてのものかおもちゃのレゴを示しているのかといったアルゴリズムだけでは判断できないカテゴリー分けや、「#lunch」のように毎日昼時にトレンドに浮上するがユーザーにとって情報としての意味があまりないというような判断をするためであり、レビュアーの好みや思想を反映するものではないと、オソフスキー氏は説明する。
ガイドラインではアルゴリズムが提示しなかったトピックでも場合によっては“投入(inject)”できることになっているが、レビュアーがこの機能を思想的に使うことはガイドラインで禁じているとしている。
ガイドラインにより「どんなイデオロギー的な領域のものであっても最も重要で人気のあるトピックが表示されるようにするための複数のチェックプロセスを設けて」おり、「特定の政治的展望を表示しないようにしたり、1つのイデオロギー的な視点を別の視点より優先したりすることがないよう管理している」という。同社はレビュアーがガイドラインを守っているかどうかを定期的に審査し、違反は解雇に相当するとも。
同氏はまた、Gizmodoの報道を真摯に受け止めており、現在社内で調査中であると語った。
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