さらば「裏方さん」、ネットワーク管理者が新時代の創造者たる理由OpenViewの名は消えても魂は消えず

ITインフラを支えるネットワーク管理は地味な存在かもしれないが、歴史をひも解けばITのドラスティックな変化へ対応しながら、その潮流をリードしてきた。ネットワーク管理の代名詞にもなった「OpenView」の26年の歴史を通じて、ネットワーク管理がITの未来を担う理由を解き明かしたい。

» 2016年05月18日 10時00分 公開
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「OpenView」の名を知っていますか?

 現代社会にとってITが不可欠な存在であるように、ITにとってもコンピュータ同士やユーザー同士をつなぐネットワークは不可欠な存在だ。ネットワークは“つながって当たり前”かもしれないが、そんな当たり前を実現し、維持することは一朝一夕にできない。これまでのITのドラスティックな変化は地道なネットワーク管理によって実現されてきたといっても過言ではないだろう。

ロゴ HP OpenViewのロゴになつかしさを感じる人は多いだろう

 実は26年にわたってネットワーク管理を支え続けてきたのが、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の「OpenView」である。ネットワーク管理者の経験を持つベテランにとってはその名に聞き覚えがあるかもしれないし、先輩からその名を聞いたことがある現役のネットワーク管理者も多いことだろう。実は、既に「OpenView」という名前は存在しない。しかし、OpenViewの歴史はネットワーク管理の歴史そのものであると同時に、今後もITの未来を切り拓いていくものだ。今回は「OpenView」をひも解きながら、“ネットワーク管理のこれから”を提示してみたい。

「つながる or つながらない」時代

 かつて「OpenView」と呼ばれた製品は、現在はHPEのソフトウェア製品「Network Node Manager i(NNMi)」として存在している。大ベテランの人にとっては「OV」というOpenViewの略称の方が、なじみがあるかもしれない。

梅根氏 日本ヒューレット・パッカード ソフトウェア事業統括 システム監視エバンジェリスト 梅根庸一氏

 「現在ではOpenViewという名前はありませんが、製品としては健在です。2016年で最初のリリースから26年を迎え、HPEのソフトウェア製品の中でも長寿を誇ります。バージョンアップを絶え間なく続け、現在はVersion 10に進化しているのです」(日本ヒューレット・パッカード ソフトウェア事業統括 システム監視エバンジェリストの梅根庸一氏)

 OpenViewが生まれた26年前といえば、まだ「インターネット」という言葉すら無かった時代だ。コンピュータ同士がネットワークを介してつながるようにはなっていたが、そもそもネットワークがつながる、つながらないといった接続性がネットワークの運用管理における最大のテーマだった。

 梅根氏によれば、当時のOpenViewではPingやSNMPプロトコルによるレイヤ3での論理結線の監視やレイヤ2での物理結線の監視に主眼が置かれた。また、監視対象はOpenViewのサーバ1台あたり最大でも3000ノードが目安と、LANに接続される機器が中心であり、管理者たちはGUIのOpenView専用画面にアクセスして、“つながらない”事態が起きないように日夜を問わず監視に明け暮れていたことだろう。

OpenView OpenView バージョン7の管理画面。このデザインに見覚えのある人はベテラン管理者ではないだろうか

ネット時代到来の大変革

 時代が少し進んでインターネットが世の中に広まり始めると、ネットワークの接続性に関する課題は機器や経路の冗長化により徐々に解決されていく。その代わりに今度は、管理者が監視しなければならない機器が大幅に増え、同時に「ネットワークが遅い!」といったレスポンスなどの使い勝手や性能に起因する問題が目立つようになった。

 この時OpenViewは、バージョン7からバージョン8へバージョン番号が1つ変わる以上の“破壊的な大変革”を遂げた。

 「ネットワークのトラブルが『遅い』や『場所によってつながりやすさが違う』といったものに変化したことで、OpenViewはスクラッチから作り直されました。従前のレイヤ3やレイヤ2の監視に加え、HSRP(Hot Standby Routing Protocol)やVRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)による冗長化、リンクアグリゲーションによる高速化など性能面に関する監視や、IPv6など新たな監視対象への対応を図ったのです」(梅根氏)

 OpenViewはバージョン8より64ビット化され、システム性能が大幅に向上した。その結果、サーバ1台で1万ノードを超える監視が可能になり、ポーリング周期については秒単位で設定することも現時的となった。そして、NetFlowによるトラフィック性能管理や、Cisco IP SLAによる通信品質などの管理もできるようになった。

 ベテラン管理者にとってこの“破壊的な大変革”で印象深いのが、一新されたGUIではないだろうか。

 バージョン7以前のGUIでは監視対象機器のアイコンが並んだり、稼働状況がリストで表示されたりする無骨なデザインだった。それがバージョン8のGUIではネットワークのトポロジーを地図のように表示したり、監視対象の状況をドリルダウンで深堀したりできる、管理者フレンドリーなデザインに生まれ変わった。

OpenView ネットワークの変化に対応してバージョン8以降ではGUIも大きく生まれ変わった

 「NNMi自体のシステム性能要件が向上したことによって大規模ネットワークから大量の情報を収集して処理できるようになり、GUIも大量の情報に対して管理者が必要な情報を迅速に見つけ出せるものになったわけです」(梅根氏)

 爆発的なネットワーク利用をもたらしたインターネットの普及は、OpenViewの大変革とそれを使いこなすネットワーク管理者たちの並々ならぬ努力によって実現されているといえるだろう。

 こうした中でOpenViewのブランド名が無くなり、名はNNMiという製品名が残っていくが進化を重ね続け、現在ではCisco NexusやESXサーバなどの仮想環境にも対応し、人間の目には見えづらいネットワークの状況を可視化する機能も高度になっている。

ネットワーク運用管理のこれから

 インターネットが当たり前になった現在、ネットワークの利用形態はより複雑な様相をみせる。通信経路はケーブルからワイヤレスへ、デバイスはPCからモバイルへ、接続先はオンプレミスのシステムからクラウドへと大きく変わり始める中で、ITのこれから変化をリードするネットワーク管理では何が求められるのだろうか。梅根氏は(1)予防保全、(2)管理対象の増大、(3)利用者の多様化――の3つを挙げる。

予防保全

 ユーザーからすれば、既にネットワークは「つながって当たり前」「より高速に、快適に使いたい」という感覚だ。そうなると、ネットワークトラブルの定義が接続性や使い勝手とは異なることが予想される。

 「一見してネットワークを問題無く使えているようでも、実はその裏側で情報が漏えいしているなど、セキュリティ面でのトラブルが増えるでしょう。セキュリティホールを無くすために、随時最新パッチを適用してConfigもアップデートし、かつ、それらのバージョンを管理する必要があります」と梅根氏。

 例えば、SNMPポーリングで収集したCisco IOSのバージョン情報を把握してパッチ管理を行ったり、別途Config管理製品との連携でポリシーへの準拠状況に関する情報を管理したりといったことが求められるという。この点でNNMiはバージョン8での“破壊的な大変革”により他製品との連携機能が強化されていることから、NNMiを起点に連係先の情報へ容易にアクセスできるため、梅根氏が指摘するような、複数台のサーバで分散管理することによるコスト増を懸念する必要がない。

管理対象の増大

 インターネット普及の次に爆発的なネットワーク利用をもたらすと考えられるのが、「IoT(モノのインターネット)」の発展だ。IPv6を持つデバイスがネットワークに接続されるようになると、ネットワーク機器としてのデバイスの定義に関する境界があいまいになり、膨大な数のデバイスがネットワーク管理の対象になる可能性が高い。

 「管理対象が増えてもデバイス1台あたりの情報収集量に変化は少ないでしょう。この場合、従来のネットワーク運用管理ツールのシステム要件スペックでは満たせない可能性が 高いと思われます。高性能な処理能力を持つネットワーク運用管理ツールが必要になり、複数のツールで分散管理する方法では運用コストが増大してしまいます」(梅根氏)

 梅根氏によれば、NNMiではSNMPポーリングを使って、実際にビデオカメラなどのMIB(Management Information Base)情報を収集している例があるという。「管理対象が爆発的に増加すれば大規模なネットワーク管理が要求されますので、大量の管理デバイスの情報を整理整頓するための自動的なグループ化機能が必要でしょう」

 26年のノウハウが詰め込まれたNNMiでは、ベストプラクティスに基づくネットワークトラブルの根本的な原因分析を自動的に行え、1台1台のノードの情報収集とネットワークトポロジによる接続性を考慮した分析を実現するという。

ホイールダイヤグラム形式による仮想環境の接続性の可視化。仮想化されたネットワークの世界は人の目には見えないだけに、ツールを利用した可視化がより重要となってくる

 「よく『木を見て森を見ず』といわれますが、ネットワーク管理では1台1台のノード、つまりは“木”をみるだけでなく、“森”にあたるネットワークトポロジも同時に見る必要があります。ネットワーク系路上のネットワーク機器の故障からその先の経路にあるネットワーク機器へ接続できなくなったような場合、NNMiでは故障機器とその影響を受けている機器の違いを色で可視化しますので、ネットワーク担当者は故障機器の方から優先的にトラブルシューティングに着手できます」(梅根氏)

利用者の多様化

 さらに、ネットワーク管理を担う人も多様化していく。ビジネス側から高まるスピードや変化への対応といったニーズを受けて注目を集めるDevOpsがその代表だ。開発から運用までのサイクルが大幅に短くなり、ネットワーク管理では仮想環境上に配置された機器の監視やアプリケーションとネットワークトラフィックとの関係性を可視化することの重要性が高まる。こうなるとネットワーク管理は従来の運用管理者だけでなくサーバ管理者やアプリケーション開発者も携わるようになり、彼らに対してネットワーク機器と仮想サーバとの接続性やトラフィックに占めるアプリケーションの帯域やサービス品質などを容易に公開することが必要になるだろう。

 「例えば、仮想サーバに作成した仮想スイッチもネットワーク機器の一部として考え、ネットワーク管理者はサーバ運用管理者やアプリケーション開発者とこれまで以上に連携することが求められるでしょう。この場合、ツールにはネットワーク運用に詳しくない運用管理者でも容易に管理できる直感的な操作性が求められてきます」(梅根氏)

 ネットワーク管理に関わる人が増えても、ネットワークの接続性や使い勝手などは維持されなくてはならず、運用管理にまつわるコストも増やすわけにはいかない。当然ながらネットワーク管理に長けたツールが必須であり、この点でもNNMiは広範な種類のネットワーク機器をカバーし、オプション機能を活用しながら統合的なネットワークの運用管理を可能にしている。


 ネットワークには「より便利に」「より快適に」「より安全に」ということがますます求められ、これまでも、これからも、ネットワーク管理がITの変化をリードし続けていくことだろう。ITの歴史はネットワーク管理者とOpenViewの軌跡そのものであり、彼らの進化もまた続いていく。

 「ネットワーク運用管理の基本的な考え方はこれからも変わりありませんが、視点の広がりやネットワークに対するニーズはドラスティックに変わっていくことでしょう。ベテラン管理者の方々が作り上げたネットワーク管理の英知を若手に伝承し、若手が活躍していくことがITのさらなる発展に寄与するはずです」(梅根氏)

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2016年6月17日