Windows 10のアップグレードには従うべき。ただし……半径300メートルのIT(2/2 ページ)

» 2016年05月31日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]
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Windows 10の普及策でMSに足りなかったもの

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 Windows 10のアップグレードは「1カ月以内なら戻すことが可能」という仕様になっていますが、問題なく元通りにできるかどうかは、実際にやってみないと分かりません。そのため、事前にOSのバックアップを簡単に丸ごと取れない場合には、おいそれと実行できないのです。

 もし、この「丸ごとバックアップ」が簡単にできて、バックアップから簡単に戻せるようになっていれば、「無料なんだし、時間のあるときにやってみよう。ダメならダメで戻せばいいや」と、気楽にアップグレードできたはずです。しかし、残念ながら、Windows 7/8.1の丸ごとバックアップ機能は大変難解で、一般の人が使いこなせるようなものではありません。

 ここでバックアップさえしておけば、万が一、ランサムウェアに感染した場合でも、アップグレード時点までは戻れるかもしれませんし、バックアップの簡単さが伝われば、この作業が身について習慣化する可能性もあったのではないかと思います。Windows 10のアップグレード施策と同時に、バックアップツールの普及が進んでいれば、昨今のランサムウェアの被害がもう少し減ったかもしれない、と思うのです。

とはいえ、どこかでアップグレードする覚悟が必要

 Windows XPやWindows Server 2003のサポート切れに関する報道は、サポート終了とともに収束しました。いま現役のOSであるWindows 7は2020年1月14日に、Windows 8.1は2023年1月10日に延長サポートが終了します。Windows 10ですら、アップデートをしていない場合はいつかサポートが終了してしまいます。その後、大きな脆弱性が発見されたとき、いまWindows 7を使っている人が果たしてその発見直後にきちんとアップグレードできるでしょうか。

 もはや、ソフトウェアは買い切りでずっと使えるものではなく、年額の使用料を支払って常に最新の状態が提供される「サービス」として考えるべきです。そう考えると、OSのアップグレードも必然であり、やはりどこかで、皆さんもWindows 10にアップグレードした方がいいと思うのです。そのためには、市販のバックアップツールなどを購入し、普段から環境を丸ごとバックアップすることをお勧めします。そうすれば、もっと気楽に「アップグレード」を考えられるはずです。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

デジタルの作法 『デジタルの作法』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

筆者より:

2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。

これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。


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