ニュース
» 2016年06月02日 07時30分 公開

Enterprise IT Kaleidoscope:低シェアのWindows 10 Mobile、ビジネス利用で大化けするのか (2/2)

[山本雅史,ITmedia]
前のページへ 1|2       

セキュリティ対策の手間

 もう一つ、Windows 10 Mobileのメリットとしては、OS自体のアップデートをMicrosoft自体が行っていることだ。PCで提供されている毎月のWindows Updateと同じように、MicrosoftがオンラインでWindows 10 Mobileのアップデートを提供してくれる。

 iPhoneやiPadなどのiOSはAppleしかハードウェアを提供していないことから、OSのアップデートをAppleが一括して管理している。しかし、Androidなどは各携帯キャリアがアップデートを管理しているため、数年前の機種ではOSのアップデートが行われず、ユーザーは、セキュリティ的に問題のあるままの状態で使い続けることになる(機種によっては、最新OSのアップデートなども提供されない)。Android端末では、OSのフラグメンテーション(断片化)が大きな問題となっている。

 IT管理者は、スマートフォンでも、きちんとしたセキュリティが保たれることを重視している。OSのアップデートやセキュリティパッチがどのようにリリースされるわからないAndroid端末は不安で仕方ない。その点、iOSやWindows 10 Mobileは、OSベンダーが直接アップデートを配布してくれるので安心できる。特にWindows 10 Mobileは、MicrosoftのLumiaだけでなく、各メーカーのWindows 10 Mobile端末向けにもアップデートがオンラインで配布されるため、メーカーが異なってもOSのフラグメンテーション問題が起こらない。

 企業がWindows 10 Mobileに興味を持つ最も大きなポイントは、PCのWindows 10とのシームレスな環境を実現していることだろう。

 Windows 10で採用されたUWP(Universal Windows Platform)ベースのアプリなら、PCのWindows 10でも、Windows 10 Mobileでも動かすことができる。自社でビジネス向けの専用アプリを開発しても、UWPベースのアプリを1つ開発すれば、PCやタブレット、スマートフォンなどの端末でアプリを変更することなく、そのまま利用できる。

 AppleのiOSアプリはiPhoneやiPadで使うため、Mac上では動かせない。また、iPhoneやiPadでは画面サイズが異なり、iPadでiPhone向けのアプリを動かす際には、単純に画面を拡大表示するか、原寸サイズのまま小さく表示される。

 Windows 10のUWPでは異なる画面サイズへの対応をOS自体が行う。小さな画面サイズに合わせたWindows 10 Mobile向けのアプリが、PCのWindows 10では拡大表示や原寸のまま小さく表示されるといったことはなく、画面サイズに合わせてOSが自動的にアプリのレイアウトを変更してくれる。

 Androidの場合はややこしい。メーカー各社がGoogleのリリースしているAndroid OSに変更を加えているため、古い機種では新しいOSバージョンへのアップデートはほとんど行われていない。またセキュリティパッチの配布も、ほとんど行われていない。

 このため、Android向けアプリの開発は、サポートする端末を決めてアプリのテストを行うことから、手間がかかる(各端末をエミュレーションするなどの開発環境も有償で提供されている)。機種別やOSのバージョン別に開発・テストを行うことを考えると、自社内だけで使用する企業アプリを全てのAndroid端末に対応させるというのは難しい。

 こうしたことから、多くの企業では社員に支給するスマートフォンの機種を限定している。


 OSごとの特色を踏まえて考えると、Windows 10 Mobileは世界市場でのシェアは低いが、企業が自社のIT端末として社員に配布する場合はメリットが大きいといえる。社員としては、個人の端末と会社支給の端末との2台持ちになるので充電や使い勝手などの点で面倒になるが、IT管理者から見ればそれほど高いハードルにはならないはずだ。

 それに企業導入でのコスト面からも、Windows 10 MobileはiPhoneより低価格といったメリットがある。大量購入での割引があったとしても、正規価格が9万円近いiPhoneに比べて、現状でWindows 10 Mobileとしては高額なVAIO Phone Bizでも約6万円ほどだ。マウスコンピュータのMADOSMAなら、Office 365の1年間サブスクリプションがついて約3万円になる。

 また、ほとんどWindows 10 Mobile端末がSIMフリーであるのもコストメリットになる。通信費用が安価なMVNOのSIMを使うことで、データ通信や通話のコストを会社全体で抑えることができるだろう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -