次は、「配置モデル(Deployment Model)」です。クラウドをシステムの設置場所の違いによって分類しようという考え方です。
1つは、複数のユーザー企業がインターネットを介して共用するパブリッククラウドです。これに対して、企業がシステム資源を自社で所有し、自社専用のクラウドとして使用するプライベートクラウドがあります。
もともとクラウドコンピューティングは、先に紹介したエリック・シュミットの言葉にもあるように、パブリッククラウドを説明するものでした。しかし、クラウドの技術を自社で占有するシステムに使えば、利用効率を高め、運用管理の負担を軽減できるとの考えから、プライベートクラウドという言葉が生まれました。
他にも地域や法令・規制など、共通の関心事によって結び付いている組合や業界といった範囲で共同利用するコミュニティークラウド、NISTの定義には含まれてはいませんが「バーチャル・プライベートクラウド」または「ホステッド・プライベートクラウド」という分類も使われています。
「パブリッククラウドのコストパフォーマンスを享受したいが、他ユーザーの影響を受けるようでは、使い勝手が悪い。また、インターネットを介することでセキュリティの不安も払拭できない。しかし、プライベートクラウドを自ら構築するだけの技術力も資金力もない」――こんなニーズに応えようというものです。
これらは、パブリッククラウドのシステム資源の一部を特定のユーザー専用に割り当て、他のユーザーには使わせないようにし、専用線や暗号化されたインターネット(VPN:Virtual Private Network)で接続して、あたかも自社専用のプライベートクラウドのように利用させるサービスです。
パブリックとプライベートの2つを組み合わせて利用する形態をハイブリッドクラウドといいます。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤリティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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