Special
» 2016年06月29日 10時00分 UPDATE

ストレージはデータをためて出すだけの箱じゃない――“元カメラ小僧”が考える「ストレージ進化論」

「ストレージ」というと“データの保存”だと思う人が大半だろう。しかし、技術の進歩により、ストレージは従来とは全く違った機能を持つことになると予想する人がいる。彼によればストレージの進化のヒントはカメラにあるという。一体なぜ?

[PR/ITmedia]
PR

 エンタープライズITの世界で「ストレージ」というと、読者の皆さんは何を想像するだろうか。昨今、ビッグデータやIoT(Internet of Things)、人工知能などデータ活用のトレンドに注目が集まる中、ストレージの性能や機能は着実に進化しているものの、基本的には“データの保存と取り出しができる箱”と思っている人は多いだろう。

 しかしさらなる技術革新により、「ストレージはデータをためる、出すだけではない存在になり得る」――そう話すのは日本ヒューレット・パッカードのデータ活用エバンジェリスト、岩野義人さんだ。

 「今日のカメラとストレージの進化には共通点があります。カメラの最新技術を追うことで、ストレージの未来も見えてくるのです」と岩野さんは話す。これは一体どういうことなのだろうか。

「カメラ」と「ストレージ」、両者の共通点とは?

 エンタープライズIT業界に入って35年、メインフレームからネットワーク、ストレージとさまざまなベンダーを渡り歩いてきた岩野さん。そんな彼の趣味は写真撮影だ。大型カメラから指先に乗るような超小型のカメラまで十数台を所持しているという。

 「昔の僕はまさに“カメラ小僧”でしたね。社会人になって憧れの一眼レフカメラを手に入れてからというもの、さまざまな写真を撮ってきました。最近は“デジタル”一眼レフカメラが主流ですが、昔のカメラはとても扱いが難しかった。特殊な訓練やセミナー、撮影会に参加して腕を磨いたものです。デジタル世代の人には想像しにくいとは思いますが……」(岩野さん)

photo 岩野さんの趣味は写真撮影。大型カメラから指先に乗るような超小型のカメラまで十数台を所持している

 撮影に相応の技術が必要だったカメラも、時代の移り変わりとともに、初心者でも簡単に高品質な写真が撮れるようになった。面倒な設定は機械側で行ってくれるし、焦点も自動で調節してくれるなど、専門家でなくとも手軽に扱える。

 特に最近は「Instagram」をはじめとして、撮影した写真をその場で加工し、SNSへアップロードできるスマートフォンアプリが普及している。こうした「アプリで撮影した写真とソーシャルメディア上のデータが共存するスタイル」は、IT基盤でも同じだと岩野さんは話す。

 「大規模なIT基盤で使われるストレージにおいても、最近はメーカーのエンジニアに頼らずに操作できるようになりました。クラウド利用が一般的になった今、用途に応じて容量や保護レベルも設定してくれますし、自動的に割当の容量や性能を調整して、無駄なく利用することが可能になっています。また、データの保存先としてクラウド型サービスを利用、併用する形態も増えてきました」(岩野さん)

“スピード”の強化で役割が変わるカメラとストレージ

 さらにカメラはストレージの進化によって、性能が大きく向上したという。例えば連写機能だ。昨今の家庭用デジタルカメラは1秒間に30枚以上の連写が可能になっているが、これはシャッター速度などの技術と合わせて、1秒間に写真30枚以上のデータ量をメモリカードに送ることができるという高速データ転送技術の進化も大きい。高精細、高解像度な写真になれば、1枚あたりのデータサイズも増加するため、ストレージの性能はより重要になる。

 「シャッタースピードの高速化はとどまるところを知りません。業務用のハイスピードカメラはスポーツにおける判定や、科学実験に使われています。東京大学と慶応大学が開発したSTAMP(Sequentially Timed All-optical Mapping Photography)は1億分の1秒の世界を切り取ることが可能といわれています」(岩野さん)

photo 日本ヒューレット・パッカード データ活用エバンジェリスト 岩野義人さん

 1億分の1秒というとあまり想像がつかないかとは思うが、流れている血液中の細胞を撮影できるスピードだ。今後は熱の伝導(1兆分の1秒)や核融合、化学反応も撮影できるようになるという。スピードが速くなることで今まで見えなかった“情報”や“現象”が見えるようになる。これはストレージにも同じことがいえるそうだ。

 「考えてみてください。データの蓄積や出力が速くなり、分析が“リアルタイム”に近づいてきたらどうなるか。1時間かかるバッチ処理が1秒でできるようになったらどうなるか。今までよりも一瞬先ではありますが、未来を予測しやすくなります。これもスピードがもたらす恩恵でしょう」(岩野さん)

カメラもストレージも“価値あるデータ”を判断するようになる

 岩野さんが現在注目しているカメラの技術は「認識」だ。昨今のカメラは自動で顔を認識したり、写った人の年齢や性別を認識するものもある。自動販売機に近づくと、オススメの商品を提示する――そんな仕組みにもカメラの画像認識が使われている。

 「ストレージにも同じような技術の進化が来ると思っています。今のところは高速化、フラッシュが大きなトレンドですが、近い将来、膨大なデータの中から価値のあるデータを認識し、独自のアルゴリズムや学習データをインライン、リアルタイムに作成できるようになるでしょう。

 さらにディープラーニングを用いた手法も日々進化しており、顧客の嗜好分析を基にしたサービス、天候予測や障害物・環境データ分析、配送ルート作成などによるドローンを使用した自動配送システム、『犯罪データや行動分析に基づいた警備』のデータの提供、といった新しいサービスもストレージで可能になるのです。人間のように自ら考える能力を持ったコンピュータと連携する日も遠くはないでしょう」(岩野さん)

photo ディープラーニングの活用事例

 これを支えるのは高度なハードウェア技術だ。ストレージ自体に高性能な専用チップを組み込むことで、データベースなどとつながなくとも、データモデルを参照しながら分析などのアクションが行えるというわけだ。

 こうした流れはさまざまなベンダーで加速している。特にソフトやクラウドサービスの会社であるGoogleのスンダー・ピチャイCEOがディープラーニング専用プロセッサ「Tensor Processing Unit(TPU)」の開発を「Google I/O 2016」の基調講演で発表したのは興味深い。専用プロセッサを開発したのは、「ムーアの法則が終わり、ソフトの進化にハードの進化が追い付かなくなってきたことが理由」という。

 最近ではオブジェクトストレージやSDS(Software Defined Storage)に注目が集まっていますが、それだけに頼りきりでは良くない――こう岩野さんは警鐘を鳴らす。近い将来ムーアの法則が崩れ、全てのソフトがハードの進化の恩恵を受けられない状況となり、その対応が必要になる。これまでとは逆に“プロセッサをソフトに特化させていく”ことが重要になるそうだ。

photo 今後、ディープラーニングの主役はソフトウェアからハードウェアに変わっていくという

 「まさにASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような、特定用途向けプログラマブル・ロジック・デバイスの開発ノウハウが必要なのです。例えばHPEの3PARシリーズでは、2002年から独自開発の高性能なASICを搭載しており、少ない消費電力でストレージ容量を最適化するシンプロビジョニング機能やデータの自動階層化など、さまざまな機能を使うことができます。ソフトウェアで処理するよりも100倍以上の高速化が見込め、ストレージの性能を限界まで引き出すことができるでしょう。

 私としてはストレージはもっとインテリジェントなハードウェアに進化するべきだと思っています。格納したデータをディープラーニングで制御し、データを取り出すといった操作も不可能ではない。もっともそのときには、ストレージは『ストレージ』と呼ばれない存在になっているのかもしれませんが」(岩野さん)

photo ストレージはデータをためて出すだけの箱ではなくなる――。よりインテリジェントなハードウェアに進化したとき、ストレージはストレージという名前ではなくなるのかもしれない

「やりたいことができる」今だからこそ、ストレージが重要なファクターに

 ストレージとカメラ、両者をこよなく愛する岩野さん。そんな彼が今狙っているのは発売当初は100万円ほどしたという大判カメラ(写真館などで使われている大型カメラ)だ。当時に比べて、今はだいぶ買いやすい値段になったという。

 「古い写真機というのはニーズがなくなったことで価格が下がっていきました。一方でストレージはユーザーのニーズとコストがマッチし、多くの人に普及する形で値段が下がっています。どちらも昔に比べてイニシャルコストが下がり、やりたいと思ったことが実現しやすい環境になった。いい時代だと思います」(岩野さん)

 しかしストレージが求めやすくなった今だからこそ、ストレージ選びには慎重になった方がいいと岩野さんは注意を呼び掛ける。

 「言うまでもなく、今後も企業が扱うデータ量は増える一方です。データが増えてしまってからデータを別のストレージに移すのは本当に手間がかかります。多種多様なデータソースを適切に管理できる体制を整えることが、データ活用の第一歩。将来のビジネスに必要になるデータを見据えて、どのようなストレージが最適なのかを精査する必要があるでしょう。もしも迷ったときはぜひ相談してください。ストレージとカメラならば、いつでもオススメを教えられますので(笑)」

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2016年7月28日