「Salesforceの入力、面倒すぎる」 そんな現場を変えた「ボット君」IT苦手な“現場のプロ”が豹変(2/2 ページ)

» 2016年07月05日 07時30分 公開
前のページへ 1|2       

 こうした事情から、現地からの報告が滞りがちになったためLooopではSalesforceの既存システムを補完する仕組みを検討することにした。そこで塩塚氏が深谷氏にリクエストしたのは「LINEのようなもの」だったという。

 「現場の作業員もスマートフォンには慣れ親しんでおり、特にLINEは現場の作業員同士の連絡手段として日常的に使われていました。LINEのようにチャットで作業指示や報告が行えれば便利だと考えたわけです」(塩塚氏)

 こうした現場の声を受けた深谷氏が、Salesforceと連携可能な企業向けチャットサービスを探したところ、出会ったのが、企業向けクラウドチャットサービス「direct」と、その上で稼働する「BotDock for Salesforce」だった。

チャットすればSalesforceに自動入力

 directは、LINEやFacebookメッセンジャーと良く似たユーザーインタフェースを備えた企業向けチャットツール。BotDock for Salesforceは、Salesforceへのデータ入力をdirectのチャットUIから行えるようにするものだ。

 BotDock for Salesforceを使うことで、現場報告のフローはどう変わるのだろうか。

 これまでLooopの現場では、スマートフォンでSalesforceにアクセスして小さな画面上で今日の作業現場を検索し、写真の複数一括投稿ができないChatterで1枚ずつ現場写真を送信する――という作業が必要だった。

 これがBotDock for Salesforceを使うと、directのトークルームにある「プロジェクト検索/投稿Bot」を選択してチャット画面に顧客名や現場の地名、住所を入力すれば、候補のプロジェクトが表示される。それを選んで写真やテキスト、位置情報を投稿すれば、自動でChatterにその情報が登録されるという。direct上でプロジェクトを選ぶと、チャット画面がそのプロジェクトの情報入力の入り口になるようなイメージだ。

Photo チャット画面からBotを使ってSalesforceのプロジェクトを検索
Photo チャット画面から入力した画像やテキスト、位置情報がSalesforceに入力される
Photo Salesforceの画面

 LINEと同じ感覚で使っていれば、自動でChatterへの入力が済むとあって、施工スタッフからは人気を博しており、塩塚氏に至っては「ボット君」と呼ぶほどのお気に入りだ。

 また、全国の発電所から発電所へと飛び回る施工スタッフに、レクチャーする必要がないほどシンプルな使い勝手も好評だという。

 「同僚にアカウントが付与されたときに、ラーメンを食べながら説明したら、その日のうちに使えるようになって。それくらい単純明快ですね。ITが苦手な僕でも教えることができるくらい分かりやすいんです」(塩塚氏)

 「あれほど滞っていたSalesforceへの入力が、きちんと行われるようになったんです。施工部門に革命が起きました」(深谷氏)

 今後はチャットツールとbotの適用範囲を拡大し、発電所の保守作業の証跡などでの利用も計画しているという。「将来は、営業部門の商談管理など、施工部門以外でも活用していきたいですね」(深谷氏)


 今後、ITの一般化がさらに進むことは間違いなく、ITになじみがない世代も、ITと関わる機会が増えると予想されている。今回のチャットツールとbotの事例は、これからのITのあるべき姿を考える大きなヒントになりそうだ。

Photo BotDock for Salesforceを利用することでチャット画面からSalesforceへの入力が可能になる
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ