今も替えが利き、3年後に期待できない人はクビになるITソリューション塾(2/2 ページ)

» 2016年07月23日 07時00分 公開
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 IT業界は、常に新しい技術やビジネスが生まれている。その一方で、コモディティ化も早く、入れ替わりが激しい。このような変化のただ中にあって、過去の常識など、あっという間に通用しなくなる。

 ITビジネスは、今、大きな転換点にある。ITは、これまでの「効率や生産性」を高める改善の手段から、「スピード、変革、差別化」といったビジネス価値を生み出す手段へと、その役割の重心をシフトし始めている。

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 前者であれば、「現状」という基準があり、これを改善するわけだから、計画も立てやすくKPIを定めることができる。だから、スケジュールを管理し、KPIを守るためのプロジェクトマネジャーが必要になる。しかし、後者は、何が成功かをあらかじめ決めることができない。そのため、計画は意味をなさず、KPIを定めることもできない。当然、従来型のプロジェクトマネジャーは機能せず、むしろ、アジャイル開発のような状況の変化に即応できるプロジェクトの進め方が必要となるだろう。

 計画ができないわけだから、工数の積み上げなどという金額の算定はできない。スピードや変革、差別化となると、変更に即応することを前提にビジネスの仕組みを考えなくてはならない。仕事のやり方は変わり、収益の構造が変わるのは、必然だ。

 また、自動化や自律化の適用範囲は、インフラの運用からアプリケーションの運用へ、さらには開発やテスト工程にも広く適用されていく。これまで、「人間にしかできなかったこと」が、機械に置き換えられていく。当然、「工数」は縮小し、人の数を増やすことはますます難しくなるだろう。

 一方で、受託開発の需要が衰えることはない。むしろ、自社の独自性と競争力を追求する手段として、ITの存在価値が高まれば、需要はますます拡大する。しかし、加速するビジネススピードに同期化し、仕様の変更にも即応でき、ビジネスボリュームの変化にもダイナミックに追従できるシステムでなくてはならない。このようなシステムに従来型のビジネスモデルでは対応できなくなる。

  • ウォーターフォールから、アジャイル開発へのシフト
  • フロー収益重視から、ストック収益重視のビジネス構造への転換
  • 工数提供に重心を置くビジネスから、戦略・企画・設計などのコンサルティングや徹底した無人化を実現する自動化・自律化への上位下位への分散 など

 このような変化を積極的に受け入れることだろう。

 (1)の「3年後にいてもらわなくては困る人」とは、このような変化への対応策を考え、実践に移せる人たちをいうのだろう。(3)の「今も代替が利き、3年後に期待できない人」は、時としてこのような変革を拒む。そうなれば、会社の3年後もないだろう。

 新入社員は未熟であることを素直に受け入れている。そして、自らの未来を切り開こうと必死になっている。そんな彼らの態度に、私たち「大人」も見習うこともあるのではないか。

著者プロフィル:斎藤昌義

 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤリティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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