セルフサービスBI

「脱Excel」か「まだExcel」か――その選択のポイントとは?セルフサービスBIの「光と闇」(前編)(2/3 ページ)

» 2016年07月28日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

セルフサービスBIを検討する企業、2つのアプローチ

 データ分析ツールとしてポピュラーなExcelではあるが、多くの人が使えるツールであるが故に起こる問題もある。まずは、データの統制が取りづらくなる点だ。1つのデータにさまざまな人がコメントや操作を加えたものが散在し、複数のバージョンが混在している――というのはよく聞く話だろう。

 もう1つはリテラシーの問題だ。Excelに詳しい人間が難しい関数やマクロ、VBAなどを駆使して作り込んだデータは、リテラシーが低い人にとっては仕組みを理解できず、触れられないデータになってしまいがちだ。仮に管理者が異動でいなくなってしまえば、逆にそのExcelファイルが業務のボトルネックになりかねない。

 「例えば、営業のルールが変わって、マクロや関数を変えようとしてもどうしたらいいか分からない。数字を入力しようと思ったら条件に合わずに弾かれた、みたいなケースもあります。そんな状態のデータが、さも公式のものであるかのように使われてしまうのは、危険だと言わざるを得ません」(堀内氏)

 こういう状況では、専門チームがある程度のデータセットを作って、残りは業務部門に任せるという“いいとこ取り”の統制ができるツールとして、セルフサービスBIを検討するケースが多い。その一方で、これからデータ解析を始めようとしてセルフサービスBIを検討する企業もあるという。

 「情報システム部門が小さい企業では、情報活用まで手が回っていないところも多く、基幹系に直接接続してデータを手に入れているという企業も珍しくありません。『システムは基幹系しかないけどデータは分析したい、セルフサービスBIはどうだろう……』と検討するのがよく聞くケースです」(堀内氏)

 一定の段階までデータ活用が進んでいる企業と、これからデータ活用を始めようとする企業の両者が、似たようなツールに可能性を感じているのが現在の状況なのだ。しかし、そこで安易にセルフサービスBIを導入すると、大きなミスを招く可能性もある。

セルフサービスBIの“落とし穴”

photo 例えば、一元管理型のBI「WebFOCUS」はCPUライセンスだ。データを見るだけの利用者が増えても、基本的には価格は変わらない(出典:アシスト)

 デモンストレーションなどを見ると、セルフサービスBIは機能が豊富で、多くの人に使いやすそうに見えるが、実際のところはデータに対する知識が必要で、データを使って試行錯誤するような、いわゆる“パワーユーザー”に向くツールだ。あらかじめ分析する項目が決まっているような定型レポートを確認したり、そこから少し分析したりする程度なら、一元管理型BIの方が向いている。

 「これは実際にあった話ですが、セルフサービス型を核にして商品を選定した上で、それを全社展開すればいいだろうと考えた企業がありました。しかし、そうするととんでもないお金がかかってしまう。セルフサービスBIはユーザー数で課金するケースが多いです。仮に1ユーザーあたり10万円とすると、10人で導入するならまだいいですが、全社展開して1000人となると1億円です。

 このような場合、CPUライセンスが選択可能な一元管理型のBIツールを選択すると総費用を抑えられます。データ活用の環境を見直す際には、一元管理型とセルフサービス型の違いを理解し、それぞれ別に検討を進めたほうがいいとアドバイスしています」(堀内氏)

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