ブレない“軸”を持っていますか? 自信のあるプロマネになる、たった1つの方法プロマネ1年生の教科書(2/2 ページ)

» 2016年07月29日 08時00分 公開
[岩淺こまきITmedia]
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キャリアを通じて、自分の“未来”を考える

 過去を振り返った次は、自分のキャリアの成功(自分自身のイメージと照らし合わせた基準でフィット感や楽しみがあり、高い成果を出せる職業人生)を実現するために、自分の「これから」を考えます。

 先ほどのキーワードを俯瞰して、自分らしいと思うイメージと一致するような言葉をつなぎ合わせて文章を作ります。例えば「人が喜ぶ」「成長の機会」「期待に応える」といった言葉が並んだなら、「人が喜ぶものを提供し期待に応え続けることで、自らの成長を実感できること」という文章を作ることができます。この文章が、しっくりとくるならそれは「自分の軸」、働く上で大切にしたい価値観と言えます。

 ただし、企業で働く以上、自身の価値観が企業の理念と真逆だった場合、その企業で勤め続けるのは困難です。念のため、自社の理念(経営ビジョン)なども参考として見てみてから、言葉をつなぎ合わせるとよいでしょう。

 それでは、この作業を前回ご紹介した「トランジション・モデル」に当てはめて考えてみましょう。今まで行ってきたことは、トランジション・モデルの最初の部分、「キャリアに方向感覚を持つ」というポイントにあたります。

photo キャリア理論におけるトランジション・サイクル(引用『働くひとのためのキャリア・デザイン』)

 自分の軸や大まかな進むべき方向性が見えてきたら、次は「節目をデザインする」というフェーズに進みます。どんな仕事を志願して経験を積むのか、どんな人脈を作るのか、どんな勉強をするのか……自らがどんな「行動をとる」のかを挙げてみましょう。

 3番目は“アクション”。実際に行動するフェーズです。このとき大切なのは、「ただ漫然と行動しない」ということです。トランジション・モデルの4番目の項目に「ドリフトも偶然も楽しみながら取り込む」とある通り、集中して楽しみ、そして好奇心をもって日々を過ごすのです。

 このときの姿勢によって「良い偶然」が引き起こされ、次の機会が生まれやすくなります。スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が考案した「計画された偶発性理論」では、日々「好奇心」「持続性」「柔軟性」「楽観性」「冒険心」を発揮している人にこそ、良き偶然が舞い込み、キャリアに影響を与える次の機会となるそうです。そして次の節目が来たら、また最初から繰り返していくのです。

 何よりも恐ろしいのは、混沌とし、昔よりも長く働くことが予想される世の中で、「こんなはずじゃなかった」と悔やむことです。自分の軸を持ち、節目節目で自らキャリアを選んでいくことで、自信を感じさせる“ぶれない”人間になれます。

 そしてそんなプロマネに、メンバーはついていきたくなるのです。プロマネを助けたくなり、自分にできることを探し、行動し始める――そんなチームができればプロマネとしては大成功といえるでしょう。皆さんは、自分に自信がありますか? ぶれない“自分の軸”がありますか? もしも、不安が残るようであれば、ぜひこの方法を試してみてください。

著者プロフィール:岩淺こまき

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 グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師

 大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気付く。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。


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