一方、「ホステッド(Hosted)」とは「ホスティングされた」という意味だが、ホスティングサービスとして提供されるクラウドシステム環境ということになる。ホスティングとは、サービス事業者が自らの設備資産、例えばサーバやストレージなどを設置する設備とともにユーザー企業に貸し出し、その運用も引き受けるサービスのことをいう。つまり、「ホステッドプライベートクラウド」とは、サービス事業者が提供するシステム資産を、料金を支払って自社の占有のクラウド環境として利用し、その運用を任せることをいう。
この「ホステッドプライベートクラウド」には二つの形態がある。一つは、クラウドサービス事業者が既に所有・運営しているパブリッククラウドのシステム資源の一部を特定のユーザー企業に占有利用させる「デディケイテッドプライベートクラウド(Dedicated Private Cloud)」と、もう一つは、ユーザー企業の要求に合わせてサービス事業者がカスタマイズしたクラウドシステム環境を構築し、それをユーザー企業に貸し出す「コミュニティープライベートクラウド(Community Private Cloud)」である。例えば、前者では、Amazon Virtual Private Cloudや、MicrosoftのVirtual Network、IBMのBlueMix Dedicatedなどのサービス、後者では、NTTコミュニケーションズのBizホスティング Enterprise Cloudや、NSSOLのabsonne、CTCのCUVICmc2などのサービスがある。
「ホステッドプライベートクラウド」サービスは、企業の基幹業務や機密性の高いデータの取り扱いを前提とする場合が多いこことや、スループット/レスポンスの安定確保の必要から、インターネットを介さずに専用線やその他の閉域網を介して企業と直結する使い方が普及している。
先のIDCのリポートによれば、今後プライベートクラウドの市場は拡大すると予測されているが、これをけん引するのは「ホステッドプライベートクラウド」の市場であり、ここにどのような戦略を描くのかが、“ポストSIビジネス”の成否を分ける鍵があるだろう。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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