企業では、まずクライアントOSを評価しているIT部門などの管理者のPC(業務に使用していないPC)を利用することになるだろう。CBBモデルでアップグレードしてみて、自社の業務アプリケーションに不具合が起きないかテストしていく。
なお、CBモデルであっても毎月のパッチ提供によって不具合が順次修正されていく。市販アプリケーションを使用している場合は、アプリケーション側でも徐々にAnniversaryに対応したアップデートがリリースされるだろう。
企業としては、CBモデルのアップグレードが終了する4カ月後(2016年12月3日頃)を待って、CBBモデルで本格的な社内アップグレードを始めてもいい。つまり、CBモデルの4カ月間は、IT部門ができるテストを繰り返していく。
CBBモデルでも、社内のPCを部署単位などでグループ化(Ring)することによって、グループごとに配布時期をコントロールできる。例えば、社内で最も早くアップグレードを行うのはIT部門だけとし、トラブルがなければ数週間後に営業部門、企画部門、経理部門と展開し、最後に工場などのPCに配布するといった具合で、スケジュールを立てやすい。
こういったことからも、企業はWindows 10のアップグレードに関する経験を積んでいくべきといえる。今後は、Windows 10がWindows OSの基本となり、年に数回のアップグレードが繰り返えされていくため、今の段階から大きな混乱が起こらないアップグレードのスケジュールを考えていくべきだろう。
注意が必要なのは、Windows 10ではアップグレードやパッチ提供などが一括して行われるため、従来のWindows 7/8.1のようにユーザーがインストールしたいパッチだけを選択して適用するといったことができない。
要は、全部をインストールするか、しないかの二者択一だ。特に、Windows Updateで配布されるパッチは、従来のように選択してインストールするようなユーザーインタフェースではないため、パッチを全てインストールするしかない。
例えば、Anniversaryで追加されたEdgeブラウザの拡張機能だけを利用したいといっても、Anniversary版のEdgeのみをインストールすることはできない。Anniversaryに丸ごとアップグレードしなければならなくなる。
またCBモデルの場合、リリースから4カ月が経過した後に提供されるWindows Updateのパッチはアップグレード版がベースとなるため、セキュリティの観点ではリリースから4カ月以内に必ずアップグレードする必要がある。CBBモデルの場合は、上述したように12カ月以内に行う。
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