安田氏 ただ最近は、SaaSの登場などで、情シスを介さずに現場でクラウドサービスを導入することも簡単にできてしまう。だから情シスの仕事は「基幹システムのお守りくらいだ」と考えてしまう人もいると思うんです。会社のセキュリティポリシーを握っているのは情シスだということに着目すれば、より積極的に関わっていけるはずだと思います。
西脇氏 そうですね。あと、情シスの人がテクノロジーを面白がっているかどうかも大事ですね。モノを作るのって本質的に楽しいことですし、今はいろんなツールがあってモノづくりがやりやすい環境にあるはずですから、有効に活用したいですよね。
安田氏 SIerに丸投げだと、楽しいところを味わいにくいかもしれませんね。実際、業績を伸ばしている企業の中には、内製化を進める企業も増えていますから。
それと、今はコンシューマーの方が新しいテクノロジーを先に使っていて、その後で企業に入ってくるという流れがあります。スマホも企業に入り始めるのに5年くらいかかりましたし、AIにしても、今はSiriやりんなで一般の人が慣れるフェーズなんでしょうね。みんながその便利さを理解して、ビジネスにも使おうという機運が高まったときに、うまく乗れるかどうかが大事です。
実際には、新しいテクノロジーに関して、経営層から言われて情シスが動くというパターンが多いようですが、そこを変えていけるといいでしょうね。
西脇氏 最近は私の講演でも、経営層の方々から「AIやディープラーニングについて教えてください」という話が多いですね。「役員会で出ちゃって……」と(笑)。情シスが活性化していれば、逆にボトムアップで「やろう」という話になると思うんです。本来、そうあって欲しいところですね。
安田氏 新しいテクノロジーの良さって使ってみないと分からないので、若い世代が良いと思っているものを、上の人たちもまず使ってみる、使う前に否定しないという姿勢も大事ですよね。
西脇氏 そうですね。そして、これからの情シス部門を担う人たちには、自分が得た楽しい気持ちや成功体験をうまく伝えられる“エバンジェリスト的な能力”を持ってほしいと思います。それができれば、周りも「そんなに楽しいなら俺もやってみよう」ということになりますから。
安田氏 今後、AIやロボットに人の仕事が代替されていくと、最終的に残る人間の仕事って「人をワクワクさせる」ことだと思うんです。今の話でいうと、これからの情シスに求められるのは、“ワクワクを伝達して人を動かす”仕事ということですね。
西脇氏 それってAIやロボットにはできませんから、情シスはなくならないですよ。日々刻々とテクノロジーが進化する今の時代、情シスにできることはどんどん増えていくわけで、こんなに楽しい仕事はないじゃないですか!
安田氏 りんなを使うだけなら情シスじゃなくてもできますが、基幹システムとつなぎ込むことは情シスしかできない。そういうところまでやって、テクノロジーを駆使したビジネスモデルの変革をすることが、成長企業における情シスに求められることとなるでしょう。
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