新入社員の“コミュ力”、どう鍛えればいい?女子ヘルプデスク今昔物語 第10話(2/4 ページ)

» 2016年08月26日 08時00分 公開
[鐙貴絵ITmedia]

コミュニケーションの本質はどこにある?

新入社員A: 仕事をするために必要だから。

わたし: そうそう。そうだね。

 なぜコミュニケーションが必要なのか――新入社員から出てきた意見をホワイトボードに書き込んでいく。

わたし: 他には?

新入社員B: 報告とか情報を伝えるのが大切だから。

わたし: うんうん。それも大切ね。ほかには?

新入社員C: んー。分からないんですけど、情報共有以外に何かあるんですか?

わたし: どうだろう。情報共有以外にコミュニケーションが必要な理由があるかどうか、確認のためにもみんなに聞いてみています。もうちょっと考えてみて。

 このほかに新入社員からは、「問題があるかどうかを報告するため」とか「上司から的確な指示を仰ぐため」といった意見が出てきた。別に間違いではないのだけれど、何かこう……大事なことが抜けている気がする。

 でも、私自身も明確な答えを出せる状態ではなく、新入社員を良くも悪くも「誘導」することはできなかった。本当は「なぜ、コミュニケーションを取るのか」という本質をもっと考えて欲しかったんだけど、うまくヒントを出すこともできない。そうこうしているうちに、彼らから意見が出なくなった。

photo 知られることでキャラが立つ……?

わたし: みんなが今、ここに出してくれた意見は「情報を伝える」あるいは「知ってもらう」ことが中心よね? これ以外に、相手が持っている情報を「知る」ということも大切だと思わない?。

新入社員C: 知ることですか?

わたし: そう。みんなが「知ってもらう」ためにコミュニケーションをとるということは、その相手は、みんなのことを「知る」ためにコミュニケーションをとっている、ということになるよね。

 お。口から出任せ(おいおい)だったけれど、何かうまくまとまるような気がする。いいこと言ってるぞ、私。

わたし: みんなが一生懸命相手に「知らせよう」としても、説明が曖昧だったり、相手がその話に興味を持てなかったり、共通の理解ができる言葉を使わなかったりして、みんなが出した情報を相手がうまく受け取ることができなければ、相手はみんなが言っていることを「知る」ことができないよね。

 だから、コミュニケーションの本質は「知ってもらうこと」と「知ること」なの。この2つがペアになって初めてうまくいく。知ってもらうためには相手に「知りたい」って思ってもらわないといけないから、どうしても知る側、つまり聞く側が主体になるの。「聞き手にとって知りたいことを知る」、これがコミュニケーションにとって最も大事なことね。そうなると伝えたい側は、相手に「知りたい」と思ってもらうところから始めないといけないの。円滑に仕事をするためにもこれは重要なんだよ。

 ……おお、うまくまとまった。なんか自己陶酔。インストラクターズ・ハイ、という言葉があるとしたら、きっとこういうことを言うんだろう。

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