タブレット用アプリケーション開発は、原則としてタブレットとは別の開発環境を必要とする。iPadの場合はMac、AndroidはJavaを含む専用の開発環境、Windows Phoneの場合はWindowsが(原則として)必要である。
アプリケーションが動作する機器と、開発用の機器(特にCPU)が異なる開発形態を「クロス開発」、同じ機器を使う場合を「セルフ開発」と呼ぶ。
歴史的に見ると、クロス開発はそれほど珍しいことではないが、PCではセルフ開発が基本であり、慣れないかもしれない。しかし、それより問題なのは、作成したプログラムを実機にインストールして実行するのが決して簡単ではないということだ。
クロス開発でも、実機テストは必要なので、作成中のプログラムをタブレットに転送して実行する方法はもちろんある。しかし、単にファイルをコピーして実行、というわけにはいかず、準備作業が必要になる。
本格的なアプリケーションではなく、一連の作業を単純に自動実行したい場合もあるだろう。こういうとき、WindowsならPowerShellが使えるし、Linuxならシェルスクリプトが使える。しかし、タブレットにはそういう簡易言語はあまり一般的ではないし、アプリケーション間の連携機能も弱い。
タブレットは、アプリケーション実行環境としては非常に優れているが、現時点ではプログラム開発環境としての機能をほとんど持たない。それがタブレットの利点だから、仕方ないことであるが、コンピュータのことを学びたい場合は問題になる。
ちなみに、コンピュータのことを学びたければ、自分でプログラムを作ってみるべきである。数百行程度のプログラムを1つでも作れば、コンピュータシステムに対する理解度は大きく向上するはずだ。コンピュータを使うだけならタブレットでもいいが、コンピュータのことを理解したければPCを使ってプログラムを作成する体験をしてほしい。
なお、マイクロソフトは、Windows、iOS、Androidなど、複数のプラットフォームで同じアプリケーションを動作させるためのプラットフォーム「Xamarin(ザマリン)」を無償で提供している。マイクロソフト創業時、最初の製品はプログラム言語BASICであり、MS-DOSが登場するまでは主力商品はほとんど全てプログラム言語だった。企業向けシステムの比率が増えた現在でも、開発者を大事にする姿勢は変わらない。
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社で、Windows ServerなどのIT技術者向けトレーニングを担当。Windows Serverの全てのバージョンを経験。趣味は写真(猫トライブ)。詳しいプロフィールはこちら。
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