コレ1枚で分かる「未来を味方に付け、ビジネスを切り開く3つのステップ」即席!3分で分かるITトレンド(2/3 ページ)

» 2016年09月14日 07時00分 公開

●ビジネスモデルと実現のシナリオを描く

 次に、この「あるべき姿」を実現するためのビジネスモデルやそこに至るシナリオを、「思想としてのIT」を前提に大胆な発想で考えていくといいでしょう。例えば、

  • これまではコストが掛かりすぎてとても考えられなかった
  • 高度な熟練が必要で人間にしかできなかった
  • 業務の連携や人のつながりが簡単には作れなかった

 かつての非常識は今では常識になっていることも少なくありません。「そんなことはできるはずはない」といった思い込みにとらわれずに、テクノロジーのトレンドやデジタルビジネスの事例を丁寧に調べ、新しい常識で可能性を探ることです。

 例えば、商品を買ってくれたお客さまがどのような使い方をしているのかを知るためには、登録されている顧客情報を頼りにアンケートをお願いするか、調査会社に調査を依頼するしか方法がありませんでした。そのため、そういう調査に協力的な一部のサンプルからしかデータを集めることができず、不完全なデータから推測するしかなかったのです。

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 しかし、センサーや通信装置が小型・高性能化して単価も劇的に安くなったこと、さらには誰もがスマートフォンを持ち歩くようになったことで、状況は一変しました。

 商品にあらかじめセンサーや通信機能を組み込んでおき、スマートフォンと連携して商品の付加価値を高めるサービスを提供します。そのサービスは、「使いたい」あるいは「使わないと損」だと思わせるような魅力的なものでなくてはなりません。そうしておけば、お客さまの利用状況をリアルタイムに、しかも完全に把握することができます。

 また、何らかのオンラインサービスを提供するに当たり、利用者一人一人の使い方や趣味嗜好を捉え、それに合わせてメニューを変えてサービスの魅力を高めたい、あるいは適切なオプションサービスを提案して収益を増やしたい、と考えたとしましょう。そのためには、高度な分析機能やその結果の解釈、それに基づく推奨機能などを組み込む必要があります。それには高額なパッケージソフトウェアを購入し、専門のエンジニアを雇わなくてはなりませんし、そんな仕組みを自ら開発しなければなりませんでした。これにはなかなかの覚悟が必要です。

 しかし、今ではこのようなことをやってくれる人工知能サービスがクラウドで提供されています。しかも使った分だけ支払う従量課金型のサービスですから、先行投資リスクもありません。これを自社のサービスに組み込むこともできる時代になりました。

 もちろんそれを使いこなすためのスキルは必要ですが、技術的な難しさは軽減され、業務のプロフェッショナルであっても、ちょっと勉強すれば使えるようなサービスも登場しています。

 こうしたことは、数年前までは非常識なことだったかもしれませんが、今では十分に実現可能となっています。

 このような情報を得るには、ネットや書籍で調べることもできますが、ベンチャー企業や大学などとの共同研究、優れた技術やアイデアを集めるイベントの開催やコミュニティーに参加するなど、情報感度を高くして最新の事情に触れ、知恵や知識を持つ人たちとつながっておく取り組みも効果的です。事実、IoTやFinTech、人工知能などの分野では、大企業とベンチャー企業、大学などが一緒になってコンソーシアムを立ち上げる例が増えています。

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