チームというと、リーダーがいてメンバーがいて達成したい目標がある、そんなイメージかな。私が新入社員のころは、チームにはちゃんとした上司(マネジャー)とは別に、「俺様」的なボス役がいて、ほぼその人がリーダーになっていたわね。
その他の人は必然的にメンバーになるけれど、メンバーはメンバーなりに、チームの目的を分かっていて、その目的を達成するために何らかの役割で関わっていたような気がする。もちろん、そうじゃない人もいるけれど……。
今の彼らに、足りないものは何だろう。
ま、悩んでいても仕方ない。ここは「えい、やぁ」でやるっきゃない。頑張ろう。講師が張り切ってやらないと講座がつまらなくなるもの。
次の日、チームビルディングの研修が始まって間もないころ。1人の新入社員がこんな問いを投げてきた。
新入社員E: 僕はリーダーとしてスキルも足りないし、みんなを引っ張っていくタイプじゃないし、言われたことしかできません。何していいか分からないときも多いし……。それってダメですよね。
わたし: ん!?
突然、何を言い出すかと思ったら……。言いたいことは分かるけれど、これは質問? 単なるつぶやき(Twitterじゃあるまいし)? 駄目ですよね? って聞かれたら「そうじゃないよ」と答えるしかないのか? でもきっとそれだけじゃ、本人は納得しないだろうな。んー。
わたし: えーと。リーダーでないとダメだと思うの?
新入社員E: 判断が早くてぐいぐい引っ張っていく人が、会社に必要な人なんじゃないかなって思うんです。
わたし: いや、それもいいけど、そういう人ばっかりじゃ困るのよ。その判断についていく人もいないとね。
新入社員E: 僕はいつもついていくばかりなんです。「何か判断しろ」と言われても、なかなか判断できないんです。
あらら。自分に自信がないタイプなのかな? でも、そういう人って意外に多そうだ。やればできるけど、間違えたらどうしよう、と思ったり、みんながついてこなかったらどうしよう、と思ったりして、なかなか判断ができない人。
でも、リーダーシップを発揮するリーダーだけではチームは成立しない。メンバーシップを発揮する人たち――つまり、リーダー主導の下、リーダーや他のメンバーを助けたり、自分の役割をチームの目標達成と関連付けて行動できたりする人も必要なのだ。これがひいては「チームワーク」につながっていく。
ここは彼一人で考えさせるより、これ自体をテーマにしてしまおう。Eくん、ナイスアシスト! それにしても、自分にスキルがないからか、投げかける系の講座が板についてきたわね、ホントに……。(後編に続く)
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