「AWSはIBMメインフレームより閉鎖的」 エリソン会長が徹底“口撃”Oracle OpenWorld 2016 Report(2/3 ページ)

» 2016年09月21日 12時10分 公開
[國谷武史ITmedia]

エリソン氏、AWSを徹底的に“口撃”

初日にも増してAWSへの厳しい“口撃”を繰り出したラリー・エリソン会長兼CTO

 会期3日目の9月20日の基調講演では、エリソン氏が再び登壇。初日に発表した主要な施策について再び説明をしたが、時間の多くをAWSの弱点を挙げることに費やした。

 例えば、Oracle CloudとAWSの各種データベースサービスにおけるパフォーマンスを比較したという説明では、1時間あたりにOracle Cloudで処理できる分析クエリがAWSより24倍高く、オンライントランザクション処理(OLTP)に至っては数千倍もの違いがあるとエリソン氏は主張。これらは全て公開情報に基づく正当なものだという。

 さらにエリソン氏は、AWSがデータベース系サービスで採用しているオープンソース由来の各種ソフトウェア技術が現在では古いものばかりで、それがパフォーマンス結果の影を落としているとも指摘した。「AWSの技術はオープンソースとは言い難く、使えば使うほど彼らにロックインされてしまうだろう」(エリソン氏)

「かつてIBMメインフレームでは富士通や日立製作所が互換機を提供していたが、AWSではそれすらできない」とロックインの危険性をあおったエリソン氏

 一方でOracleのIaaSは、価格面以上にサービスの提供品質や高いセキュリティレベル、オンプレミスからの移行手段に強みがあると、エリソン氏は説明。IaaSを提供するデータセンター群の「リージョン」を世界約20カ所に配置し、リージョン間を100Gbpsの高速回線で接続している。リージョン内も高速ネットワークで接続したデータセンターを3重化することにより、耐障害性を高めているという。

OracleのIaaSは耐障害性の高さと極めて遅延が少ないことがウリだという

 また、データセンター内では仮想ストレージなどをハイパーバイザから切り離して管理したり、コントロールプレーンをインターネット側から隔離したりすることで、不正侵入などのセキュリティリスクを排除する。

 ユーザーのコンピュートノードとストレージノードを直結させ、スイッチ間接続を全て2ホップ以内に収めることで、遅延が極めて低いユーザーへの帯域保証が可能だという。これらのサービス提供を担うハードウェアについても、現時点で最高レベルのスペックを持つ機器を採用しているとした。

不正侵入への防御を取り入れたネットワークのアーキテクチャを採用することで、クラウド環境が攻撃者に乗っ取られるサイバーテロのリスクに対処しているという

 エリソン氏は、AWSが「IaaS市場の開拓に成功した先駆者としてはすばらしい」と賛辞を贈る一方、こうしたAWSとの差別化によってIaaSでも顧客獲得に成功するとの自信を示した。ただ、日本からの来場者の中には「SaaS/PaaSのように成果を出せるのだろうか」という意見が聞かれた。「まずはユーザーの選択肢を増やしたことは評価できる」との声もあった。

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