日本ではシステムの受託産業、いわゆるSIが盛んな国です。顧客の要件を聞き、それを実現するシステムをオーダーメイドで開発して納品するスタイルです。
顧客は喜んでそれを使う……または「あれが違う」「これは俺が言った仕様じゃない」など、さまざまなトラブルが起きるかは定かではありませんが、パッケージソフトウェアが開発企業の責任で市場に供給されるのに比べ、システム受託開発は、開発責任こそ開発企業にあるものの、どんなシステムを作るかという点では、顧客と開発企業との共同作業であり、顧客がシステムの出来に対して「口を挟む」ことができるのです。
企業向けのパッケージソフトウェアは昔から存在しますが、我が国の企業システムで伝統的なのは圧倒的に受託生産型のシステムでしょう。そして日本には、顧客がシステムを「使う」前の「作る」ところから深く関わる文化があります。
しかし冒頭に触れた通り、近年は環境変化のスピードに追従するため、既成品であるパッケージソフトウェアを使う会社も増えてきました。しかし、SIと同じくらい、もしくはそれよりも大きな金額をパッケージソフトウェアに投資することで、パッケージソフトウェアがSIのように見えてきて、顧客は自分の思い通りに作りたくなる――それが失敗の始まりだと私は思います。
なぜ、SIではなくてパッケージソフトウェアを選ぶのか? それは既成品を使うだけというスピードが利点なのに、なぜか従来のSIのように、自分好みに作る方向に話が走ってしまう。それで「なんで俺の思った通りに動かないんだ? すぐ直せ!」みたいな話になるわけです。
これらは基本的な話ではあるのですが、SIとパッケージソフトウェア、両者のメリットを取り違えてしまうと、導入プロジェクトは失敗してしまうでしょう。パッケージソフトウェアが活躍するか、ただのガラクタで終わるのかは、あなたの選び方と使い方にかかっているのです。次回は「外資系」と「国産」のパッケージソフトウェアの違いについて、お話ししていきます。
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