コレ1枚で分かる「ITの4つの役割」即席!3分で分かるITトレンド(2/2 ページ)

» 2016年11月14日 12時00分 公開
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ビジネス変革やビジネス創出を促す「思想としてのIT」

 ITの進化はこれまでの常識を破壊しつつあります。例えば、

  • 高額な機器を購入し、専門的なスキルを持つエンジニアがいなければ扱えなかったコンピュータは、クラウドの登場で月額数百円や数千円から簡単に使えるようになりました。
  • 機器の動作や状態を把握するには、数万円から数十万円はする高価で大きなセンサーを取り付け、大きなコンピュータを横に置き、月額数十万円もする通信回線でつながなくてはなりませんでした。今では、数円から数百円のセンサーをワイシャツのボタンサイズのコンピュータにつなぎ、月額数百円の携帯電話の回線を使って世界中につながるインターネットを介して、さまざまなモノの動作や状態をどこからでも把握できるようになりました。
  • 専門家の経験やノウハウは人工知能に置き換えられ、誰もがインターネットを介して利用できるようになりました。専門家に引けを取らない内容や精度でアドバイスしてくれたり、未来を予測し、正確な判断を下してくれたりできる分野も増えつつあります。
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 このように、ITが既存の常識を破壊し、「以前は全く夢物語だったけど、今では簡単にできること」を増やし続けています。その新しい常識で物事を考えるとき、これまでとは違う解釈や発想が生まれてきます。ITはそんな「思想」という役割を担っているのです。

 「思想としてのIT」は、ビジネスの変革や新たなビジネスを創出する原動力となります。「思想としてのIT」と付き合うには、ITのトレンドを探り、その価値や世の中に与える影響を知ろうとすることが大切です。

収益を拡大させ、ビジネスの成長を支える「商品としてのIT」

 ITは、それ自身が商品となって、お金を稼いでくれます。例えば、

  • スマートフォンやPCから楽しめるオンラインゲームは、ネットの世界で武器やアイテムを販売し、より難しいシナリオへの挑戦を有償で提供しています。
  • オンラインショッピングサイトは、商品の品ぞろえばかりでなく、利用者の購買履歴や趣味嗜好を分析し、最適な商品を推奨し、売上を拡大させています。
  • 銀行の預貯金や決済、融資といった業務は、実際の現金の移動ではなく、台帳データを書き換えることで行われています。そのデータを書き換えるごとに手数料が発生し、銀行に収益をもたらします。
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 このように、ITを駆使して作った情報システムが商品となってお金を稼ぎ、ビジネスの成長を支えています。そのため、その出来の良しあしが収益を大きく左右することになります。

 そんな「商品としてのIT」は、その事業を担う人たちが責任を持って設計、構築、運用をしなくてはなりません。マーケティングや営業も深く関わってくるでしょう。当然、ITにできること、できないこと、そしてITがもたらす価値や可能性を深く理解しておく必要があります。設計、構築、運用の実務はITの専門家に任せることはできますが、その成果については事業を担う人たちが責任を担わなくてはなりません。

 「商品としてのIT」と付き合うには、ITについて深く精通し、ITの専門家とどのような商品を作るかを、技術的なことにまで踏み込んで議論ができなくてはなりません。

 また「商品としてのIT」は、先に紹介した3つのITの総力戦でもあります。つまり、

  • 「思想としてのIT」が教えてくれる「これからの常識」で、新しいビジネス・モデルを描く。
  • 「仕組みとしてのIT」で、便利で効率の良いビジネスプロセスを作る。
  • 「道具としてのIT」で、ぜひとも使いたいと思わせる使い勝手や見栄えの良さを実現する。

 そんな取り組みが、魅力的な「商品としてのIT」を実現するのです。

著者プロフィル:斎藤昌義

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 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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