パッケージソフトの“機能追加”に期待すると失敗する失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(3/3 ページ)

» 2016年11月21日 08時00分 公開
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「カスタマイズ」でできること、できないこと

 ソフトウェアの目的にもよりますが、エンタープライズ向けのソフトウェアは、そういったお客さまの要望に応えるために、ある程度のカスタマイズを許容するように設計されたものもあります。洋服や家に例えると、セミオーダーのようなイメージです。しかし、カスタマイズできるからと言って「今ない機能が提供できるようになる」ということにはなりません。

 キャラクターやストーリーがあらかじめプログラムされ、買ってそのまま遊べるRPGと、キャラクターやストーリー自体を自分でカスタマイズできる制作ソフトとの違いと言えば分かりやすいでしょうか。後者のソフトを使って、誰でも名前を知っているようなクオリティのゲームを作るのがどれくらい難しいか、想像できると思います。

 別に「カスタマイズ」の機能そのものを否定しているわけではなく、カスタマイズには、相応の専門スキルが必要だということです。エンタープライズ向けのパッケージソフトウェアであれば、プロフェッショナルサービスと呼ばれる(日本ではあまりなじみのない言葉ですが)、そのソフトウェアの専門家集団がいるのが一般的です。

 彼らが、その専門技能を駆使して、あなたの要望を実現するのに最適な方法を提案し、実装を支援してくれるでしょう。外資系企業であれば、日本国内にそのような部門を持っているかどうかもチェックすべきポイントです。それでは最後に、本日紹介したポイントをおさらいしましょう。

  1. 「今ない機能」を前提に(期待して)パッケージソフトウェアを購入してはいけない
  2. パッケージソフトウェアにない機能を実現したいならば、SIを検討したほうがよい
  3. カスタマイズ可能な機能を提供しているものがあるが、その場合は専門家の支援を受けたほうがよい

 今回は、パッケージソフトウェア選定時に陥りやすい失敗例と、そうならないためのポイントを紹介しました。次回は「無料」という言葉に潜むワナについてお話しする予定です。お楽しみに。

著者紹介:吉丸新一郎

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 日本ヒューレット・パッカード株式会社 プロフェッショナルサービス コンサルタント / シニアアーキテクト。自社のエンタープライズ向けソフトウェア、特にハイブリッドクラウド管理、データセンター運用自動化製品を専門とした導入コンサルティングを担当。

 製造業システム子会社でのデータセンター事業企画・運用、ベンチャー企業での新規事業開発および運用を経て、ソフトウェア利用者の立場をサプライヤーの立場に変え現業に従事、現在に至る。

 趣味は音楽鑑賞(ジャズやクラシック)や歌舞伎やオペラの観劇など。旅行が好きで、食べ歩きが得意ジャンル。

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