「クラウドバックアップ」で大迷惑、あなたはやらかしてないですか半径300メートルのIT(2/2 ページ)

» 2016年11月29日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]
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 個人が作り出すデータ(つまり、バックアップすべきデータ)は日に日に増大しています。私は個人データを年ごと、月ごとに分けて保存しているのですが、大学生だった1990年頃はフロッピー1枚(つまり、1Mバイト程度)で1年分のデータが保存できました。2000年代になると画像ファイルの容量も大きくなり、動画ファイルも登場。扱うファイルの容量は、どんどん大きくなっていったのです。

 こうして積もり積もった私のデータ資産は今や、8テラバイトに達しており、これをクラウドバックアップすると、当然ながら通信回線上に8テラバイト分のトラフィックが発生してしまいます。これが、今の時点で私がクラウドバックアップを手放しでお勧めできない理由なのです。

 恐らく、ほとんどの人は、「まだ、そんなに大量のデータを持っていないから、私には関係ない」と思うことでしょう。しかし、ITの進化はめざましく、VRや3Dの進化とともに、十数年後は誰もがテラバイト級のデータを消費する時代が来るはずです。

 個人的に心配なのは、そのとき手軽にバックアップできる手段の話を現状、あまり耳にしないことです。「1枚のディスクで数百テラバイトの記録ができる」という新たなバックアップ手段のニュースがたまに報道されてはいるものの、製品になったというニュースは聞こえてきません。早く、誰もが簡単に「手元に」バックアップを残せるデバイスが登場することを祈っています。

クラウドバックアップに適しているのは

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 かといって、クラウドバックアップが“全く使えない”ということではありません。過去の蓄積であるPCデータのバックアップは、容量や回線の関係でまだ早いと思っていますが、スマートフォンのバックアップ用途としては、とても優れていると思います。

 スマートフォンならバックアップ対象のデータは多くても数Gバイト程度でしょうから、自宅の通信回線にもさほど負荷をかけずにバックアップできるはずです。万が一のことがあってもさっと復旧できるようバックアップを行うこと、そして試しに復旧のテストをしてみることをお勧めします。

 さて、クラウドバックアップが使えなくなった今、目の前にあるHDD4本分の8テラバイトデータを、どうやってディザスタリカバリしていくべきか……。まぁ、個人のデータで、そこまで考える必要もなさそうではありますけどね。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

デジタルの作法 『デジタルの作法』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

筆者より:

2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。

これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。


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