ドックランドの施設は1990年の開業以来、10年ごとに新棟が建てられてきたが、今回のデータセンターは、6年ぶりの新設になるという。それだけ、データセンターの需要がここ最近、増加しているということだ。
曽雌社長は「クラウドサービスの普及が、ストレージやデータ通信のニーズを引っ張っている。モバイルが普及し、IoT時代となり、ビッグデータを解析するとなると、『どこにクラウドを置くか』がさらに重要になってくる。都市型でエンドユーザーの近くにあり、他社との接続性が高い方が、何かと効率がいいはずだ」と話した。
データセンター事業者の中には、投機的に参入している企業もあるという。安価なデータセンター事業者を買収し、ユーザーを集めて、不動産的に売り飛ばすというわけだ。
その点、KDDIとTELEHOUSEは26年間、データセンター事業を継続的にオペレーションしてきた。「今後も事業を運営し、利益を次に投資していく」(曽雌)という。
英国は2016年6月、国民投票でEUから脱退する「Brexit(ブレグジット)」を決めた。その点は心配材料といえる。BrexitはTELEHOUSEの事業にどのような影響を与えるのだろうか。
曽雌社長は「(実際に撤退するのかしないのか)今後を注視していかないといけない。しかし、企業がハブ機能をヨーロッパ大陸側に持って行くことになっても、TELEHOUSEはパリやフランクフルトにもデータセンターがあるので、十分に対応できるし、英国内にもニーズがあるので、底堅いのではないか」と見る。
ドイツのフランクフルトには、2012年に開業したデータセンター、TELEHOUSE Frankfurtがある。フランクフルトの中心部から約3キロの距離にあり、ドイツのインターネットエクスチェンジとなるDE-CIXの本拠地で、500以上のISPや通信事業者と接続している。構内の駐車場には、米国の大手通信キャリアのクルマを止められるスペースなども確保されていた。
TELEHOUSE Deutsclandの杉山尚 Co-CEOにも話を聞く機会があったが、「Brexitの影響は不明ながら、いまは需要が旺盛だ。今年の年間販売は30MW(メガワット)になりそうだ」と話していた。
Brexitにより、欧州のデータセンター需要がどう変化するかは誰も予想できていないが、TELEHOUSEはロンドン、フランクフルト、パリといった拠点を持つことから、今後の不透明な需要変化にも充分に対応できるネットワークを持ち合わせていると考えているようだ。
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