欧州最大級のデータセンター「TELEHOUSE London Docklands」の新棟を見てきた(2/2 ページ)

» 2016年12月12日 09時00分 公開
[石川温ITmedia]
前のページへ 1|2       

データセンターの需要は堅調

 ドックランドの施設は1990年の開業以来、10年ごとに新棟が建てられてきたが、今回のデータセンターは、6年ぶりの新設になるという。それだけ、データセンターの需要がここ最近、増加しているということだ。

 曽雌社長は「クラウドサービスの普及が、ストレージやデータ通信のニーズを引っ張っている。モバイルが普及し、IoT時代となり、ビッグデータを解析するとなると、『どこにクラウドを置くか』がさらに重要になってくる。都市型でエンドユーザーの近くにあり、他社との接続性が高い方が、何かと効率がいいはずだ」と話した。

 データセンター事業者の中には、投機的に参入している企業もあるという。安価なデータセンター事業者を買収し、ユーザーを集めて、不動産的に売り飛ばすというわけだ。

 その点、KDDIとTELEHOUSEは26年間、データセンター事業を継続的にオペレーションしてきた。「今後も事業を運営し、利益を次に投資していく」(曽雌)という。

 英国は2016年6月、国民投票でEUから脱退する「Brexit(ブレグジット)」を決めた。その点は心配材料といえる。BrexitはTELEHOUSEの事業にどのような影響を与えるのだろうか。

 曽雌社長は「(実際に撤退するのかしないのか)今後を注視していかないといけない。しかし、企業がハブ機能をヨーロッパ大陸側に持って行くことになっても、TELEHOUSEはパリやフランクフルトにもデータセンターがあるので、十分に対応できるし、英国内にもニーズがあるので、底堅いのではないか」と見る。

TELEHOUSE Frankfurtも都心部に存在

 ドイツのフランクフルトには、2012年に開業したデータセンター、TELEHOUSE Frankfurtがある。フランクフルトの中心部から約3キロの距離にあり、ドイツのインターネットエクスチェンジとなるDE-CIXの本拠地で、500以上のISPや通信事業者と接続している。構内の駐車場には、米国の大手通信キャリアのクルマを止められるスペースなども確保されていた。

 TELEHOUSE Deutsclandの杉山尚 Co-CEOにも話を聞く機会があったが、「Brexitの影響は不明ながら、いまは需要が旺盛だ。今年の年間販売は30MW(メガワット)になりそうだ」と話していた。

TELEHOUSE Deutchland 杉山尚Co-CEO TELEHOUSE Deutsclandの杉山尚Co-CEO

  Brexitにより、欧州のデータセンター需要がどう変化するかは誰も予想できていないが、TELEHOUSEはロンドン、フランクフルト、パリといった拠点を持つことから、今後の不透明な需要変化にも充分に対応できるネットワークを持ち合わせていると考えているようだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ