Windows 10 Mobileは、端末内データの保護についてもWindows 10と同等の機能があります。2016年8月2日に提供された「Anniversary Update」で搭載された、Windows Information Protection(WIP)が使えるため、データを企業用途と個人用途の領域に分離し、両者間のデータのやりとりを制限できます。例えば、組織で使用するアプリで閲覧しているデータを、個人の領域などに持ち出すことを防げるのです。
最後にID保護の機能をご紹介しましょう。要件を満たしたWindows Hello対応の端末では、虹彩を使った認証を導入することで、なりすましを防げます。虹彩認証は私も使用していますが、画面を見るだけで素早くログインできるので非常に便利です。
パスワードポリシーを強固にして、定期的なパスワードの変更を義務付けたところで、ユーザーは最後の1文字を変える程度で済ませてしまうのがオチです。今後、生体認証はデバイスセキュリティの要になるでしょう。
このほか、ビジネス向けストアを設定してユーザーに特定のアプリを割り当て、そのアプリをWIPで組織のアプリとして設定する、といった方法も有効でしょうし、IntuneなどMDM製品からポリシーを配布することも可能です。IT管理者にとって管理がしやすい環境を構築できるのもWindows 10 Mobileの特長といえます。
セキュアな虹彩認証でログインして、アプリはOffice 365を中心にクラウドを使用して情報はリアルタイムで同期。仮に端末を紛失しても、クラウドに情報があるならデバイス内に情報を保存しなくてもOK――。
このように、生産性とセキュリティを高めることで、ワークスタイル改革は格段に進めやすくなるでしょう。Windows 10 Mobileは、比較的安価な端末がそろっていることもあり、企業のコスト削減に貢献する可能性もあります。
マイクロソフトは引き続き、「モバイルファースト、クラウドファースト」を推し進めていきます。ぜひ、今後のWindows 10 Mobileのアップデートを楽しみに待っていただければと思います。
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