VVOLのメリットとデメリット仮想化&ストレージの基礎と最前線(2/2 ページ)

» 2017年01月12日 12時30分 公開
[羽鳥正明ITmedia]
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VVOLのメリット

 VVOLの最大のメリットは、これまで仮想マシンの管理とストレージの管理が分断され、双方の管理者の負担を増やしていた部分を一気に解決したことにあります。もともと保守管理を減少させて、効率化を図ることを目標として仮想マシンを利用することを決定した企業としては、こうした改善が図られたことで、その利用価値を大きく高められるようになったことが大きなメリットとなっています。

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 VVOLは、ストレージプロファイルとしてストレージが実装している機能を公開するため、仮想マシンの管理者は必要なサービスレベルを実現できる機能をvCenter上で簡単に組み合わせることができ、それをストレージポリシーとして設定。VMware環境の管理者は、仮想マシンのストレージ要件を満たすストレージポリシーを選択し、VVOLを切り出せば、仮想マシンが作成できることになります。

 このプロセスは、それまでの設定作業に比べるとはるかに簡単で、利用価値は極めて高いものとなりました。これにより、仮想マシン単位でのストレージ運用が可能になり、他の仮想マシンとのリソースの調整も自動的に行われることとなることから、事前の設計プロセスが大幅に削減されるというメリットも生まれたのです。これにより、運用フェーズでの管理者の作業が解放されたことは、これまでにない大きなポイントとなっています。

 さらに、VVOLはバックアップの運用を簡単にすることでも、大きなメリットを生み出すこととなりました。従来はファイルシステムやボリューム単位でしか行えなかった複製とスナップショットを仮想マシン単位で行えるようになったことから、これを組み合わせることでストレージ機能による高速なバックアップとリストアが実現可能になった点も大きなメリットとなっています。

VVOLのデメリット

 VVOLは、表面上は大きなデメリットを感じない仕組みとなっていますが、それでも利用する場合には幾つかの注意事項が存在しています。

 このVVOLを使用する環境では、ストレージシステムの構成変更やリソースの状態が仮想マシンの運用に影響を与えることがあります。問題なく運用するためには、ストレージコンテナ内のDP(Dynamic Provisioning)プールは容量に十分な余裕を持つことが必要となります。この容量が不足した場合、仮想マシンからのI/O、仮想マシンの作成や起動、サスペンド、及びクローンの作成などに失敗することがあります。

 同様にThin Imageプールも容量に十分な余裕を持つことが必要となります。Thin Imageプールの容量が不足した場合も、仮想マシンのスナップショットやクローンの作成に失敗することがあります。

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 また、VVOLを実装するために、ストレージは数万〜数十万の個別にアドレッシング可能な仮想ボリューム(NFS内のディレクトリ、またはSAN内の新たに定義されたサブLUN)が必須となります。例えば、4つのvDiskを持つVMを1000台、VVOLで実装するには、4000ものサブLUNが必要になります。このVMにそれぞれ8個のスナップショットを取得した場合、サブLUNの数は3万2千にもなってしまいます。あまり知られていないのですが、ストレージサブシステムにはLUNの数の制限があり、VVOLによるサブLUNの数がもともとのLUN制限数に引っ掛かってしまうことがあります。簡単にいえば、VVOLには拡張性があまりなく、大規模な仮想化環境には適さないということです。

 そして、これをデメリットというかどうかは難しいところですが、いくらVVOLによって仮想マシン単位での管理ができるようになったからといって、仮想マシン性能の調整や自動化をしてくれるわけではありません。そこは人手を介して細かく調整をしなければならず、性能管理はどうしても伴ってしまうということです。

 このように、VVOLを導入すれば、従来型のストレージの仮想環境での問題点が解決できるかといえば、そうではないようです。ただ、全体のVVOLのメリットに比べれば、こうした問題は許容できるのかもしれません。

 実際VVOLを利用するにあたっては細かな注意を怠らないようにすることが重要です。なお、VVOLを導入しなくても、仮想マシン単位での管理や性能の自動調整を行ってくれるストレージも登場しています。そのようなストレージの評価も併せて行うことをお勧めします。

著者プロフィル:羽鳥正明

外資系ITベンダーを渡り歩き、PC、サーバ、ストレージのマーケティングを20年以上間担当。現在はティントリのマーケティング。詳しいプロフィルはこちら


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