やっぱり多い紙からの情報漏えい、顔が印刷の「鍵」になる?

情報漏えい対策は、これまでITにまつわる部分の対応が優先されてきた。しかし、漏えい元の多くを占める紙媒体では対策しにくい現状があるようだ。NECの顔認証技術が「鍵」となり、カメラに顔を向けるだけで印刷を管理できる新しい対策を紹介する。

» 2017年01月10日 10時00分 公開
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情報漏えい対策が難しい「紙媒体」

 組織にとって情報漏えいは、深刻な損害につながりかねない重大リスクだ。個人情報ならば被害者への金銭補償が生じるし、自社に対する信頼が失墜する。知的財産に関する情報であれば、競争優位性も損なわれてしまう。情報漏えいを防ぐために組織では、ネットワークやシステムにおけるサイバー攻撃対策、また、PCやUSBメモリなどの盗難・紛失対策、メールの誤送信対策といった、ITにまつわるさまざまな対応が取られてきた。

 しかし、日本ネットワークセキュリティ協会が公表している「情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」をみると、実は漏えい経路において「紙媒体」が占める割合が最も大きい。紙媒体の情報漏えい対策も不可欠なはずだが、なぜ進んでいないのだろうか。

漏えい媒体・経路別の漏えい件数(出典:日本ネットワークセキュリティ協会「2015年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書【速報版】」)

 NEC パートナーズプラットフォーム事業部マネージャーの平尾浩一郎氏は、「紙媒体の利便性は無視できないからです。持ち運びがしやすく、簡単に印刷でき、小さく折りたたんでも情報が失われることはありません。それらのメリットから、紙媒体経由での情報漏えいを防ぐことは極めて難しいといえます。昔から続く情報管理の大きな課題です」と強調する。

紙媒体における対策

 紙媒体の情報管理に万全を期すとなれば、いつ、だれが、何を、どれだけ印刷したのかまで正確に把握し、かつ、万一問題が生じれば原因を追跡できる仕組みを整える必要がある。だが、紙媒体の利便性を優先してなかなか対策を実施しくにいのが現状だ。しかも、対策には少なからず投資を必要とすることから、特に中小規模のオフィスでは管理が総じて進みにくい。

 ただ、こうした中でも金融や自治体など印刷物にも高度なセキュリティ対策が求められる業界では、既存の入退管理のICカードなどを活用して、印刷物の情報管理の仕組みを整えるところが相次いでいる。例えば、複合機などにICカードの読み取り装置を設置し、印刷する従業員本人がICカードを読み取り装置にかざして認証されると、出力される仕組みだ。この仕組みでは、だれが、どのようなファイルを印刷したのかといった情報も管理サーバに記録される。

顔認証印刷 NEC パートナーズプラットフォーム事業部 マネージャー 平尾浩一郎氏

 「こうした認証を利用する仕組みは、紙媒体の情報漏えい対策において現実的な方法です。例えば、PCから印刷指示をしても、つい仕事が忙しくて印刷物を取り忘れるといったことがありますが、本人確認後に出力するという仕組みなら、取り忘れによる情報漏えいリスクを減らすことができるでしょう」(平尾氏)

 また、認証印刷の仕組みを導入した企業では、出力枚数が総じて減少するコスト削減効果も期待できるという。平尾氏によれば、企業によっては3割近く削減できたケースもあるとのこと。従業員がいったん印刷指示をしても認証されるまでは出力されないため、誤った印刷を出力前にキャンセルできる。それに、印刷指示の履歴がログとして管理サーバに蓄積されるので、従業員が業務と関係のない印刷を控えようと考える心理的な効果もある。

 ただし、ICカード認証による印刷対策には課題もある。人事異動などによってその都度システムの利用権限や管理サーバなどの設定を変更する手間や、盗難・紛失時のカードの再発行といった負担は大きい。ICカードは密かに貸し借りもできてしまうため、なりすましによる不正利用を防ぎづらい。

 それに、ICカードによる認証印刷の仕組みを利用できるのは、複合機に限られるケースがほとんどだ。中堅・中小企業ではオフィスの制約から机の上に設置できるコンパクトなプリンタが数多く利用されているものの、こうしたプリンタでは認証印刷によるセキュリティ対策を講じられない場合があった。

顔が鍵になる印刷対策

 このように、中堅・中小企業が情報漏えい対策やコスト削減効果も期待して認証印刷の仕組みを導入したくても、ICカードの管理で課題があり、導入はなかなか難しい。そこでNECは、独自の顔認証エンジン「NeoFace」と、シーイーシー(CEC)の認証印刷ソリューション「SmartSESAME SecurePrint!」を組み合わせ、中堅・中小企業向けにプリンタでも利用することができる「顔認証印刷ソリューション」を提供している。

 顔認証印刷ソリューションの一番の特徴は、利用者の顔が認証の「鍵」になるという点だ。顔の情報を認証に利用することで、第三者が本人になりすますことが非常に困難となり、ICカードのような盗難や紛失の心配もない。NECの顔認証エンジンNeoFaceの技術を利用しており、利用者に負担をかけることなく、ハンズフリーで認証を行うことができる。

米国政府機関主催のコンテストでトップ評価を獲得

 顔認証印刷ソリューションでは、プリンタの脇に設置されたネットワークカメラに、利用者が自身の顔を向けるだけで認証が行われる。事前登録された顔画像とカメラに映した顔画像を照合して本人確認が完了すれば、すぐに印刷実行が可能だ。また顔認証はサーバで管理しているので、地方拠点や建物内の別フロアなど、利用者が普段利用している場所とは異なる場所のプリンタでも顔認証を行うだけで、その場で印刷が行える。

顔認証印刷 顔認証による印刷のイメージ

 「例えば、誰かが大量に印刷していると、それが終わるまで自分の印刷を待たなくてはならないことが日常的にあります。顔認証印刷ソリューションでは、他に空いているプリンタからでも印刷できます。出張などの際に自分のPCから印刷指示をしておけば、現地にあるオフィスのプリンタから印刷できますので、紙文書を持ち運ぶ手間やそれに伴う漏えいのリスクを格段に抑えることができるでしょう」(平尾氏)

 認証のための顔画像の登録は、ネットワークカメラでも、事前に撮影しておいたデータでも可能だ。印刷指示の履歴は印刷ログとして管理サーバに蓄積・保存される。このため利用者が密かに不正な印刷を試みても、印刷ログからその行為が明らかになり、不正印刷の抑止効果も極めて高いといえる。オプション機能を利用すれば、印刷イメージも同時に取得して、管理者が印刷された情報の内容を確認することもできる。

既存のプリンタにも追加可能な柔軟性

 顔認証印刷ソリューションを構成するSmartSESAME SecurePrint!は、NEC製の「MultiWriter」をはじめとするマルチベンダーの製品に対応している。そのため、既存のプリンタやメーカーが異なる複数機種を利用している環境に顔認証印刷を導入できる柔軟性も大きな特徴だ。

※複合機・プリンタメーカー8社(NEC、キヤノン、コニカミノルタ、シャープ、東芝テック、富士ゼロックス、リコー、理想科学工業)に対応。その他メーカーもネットワークプリンタであれば基本的に対応可能。

 一般的なオフィスの場合、従来の認証印刷は複合機での利用が中心だったが、オフィスにはプリンタも存在するため、これら全体での印刷コストをどう削減するかが課題になっていた。

 印刷コストを削減するには、放置印刷や印刷ミスといった無駄な印刷を削減する必要があり、複合機やプリンタを問わず、オフィス全体で取り組まないといけない。「特に自治体などは複数メーカーのプリンタや複合機が導入されているところが多く、コスト削減を推進するために、事務所内の印刷機器をトータル管理したいとのニーズがあります。そのためNECはCECとの協業を通じて、マルチベンダー環境のユーザーを支援したいと考えています」(平尾氏)

 複合機やプリンタなどのオフィス機器のマルチベンダー化のニーズは着実に広がっている。CECはこうした動きをいち早く捉え、SmartSESAME SecurePrint!でさまざまな機器での認証印刷を可能にした。SmartSESAME SecurePrint!は、既に累計800社、9万ライセンスの導入実績を誇る(2015年1月時点)。顔認証印刷ソリューションは、中堅・中小企業から大企業まで幅広く導入することができる。

顔を鍵に、オフィスの利便性を高める

 NECは、顔認証技術を今回の印刷ソリューションだけではなく、PCのログインや入退管理などのソリューションでも提供している。顔認証はカメラに顔を向けると実行されるので、認証時におけるユーザーの抵抗感も小さい。顔を鍵とすることで、オフィスのあらゆる認証を行い、同時に利便性も高めていける。

顔認証印刷 顔認証技術を活用すれば、オフィスの利便性も高められる

 「ハンズフリーで認証ができる顔認証は、荷物で両手がふさがった状態などでも認証が可能ですから、荷物の搬入が必要となるような現場などで大きなメリットになるでしょう。NeoFaceの顔認証技術は、米国政府機関の評価テストで極めて高い認証精度と速度を達成しており、安全面でも優れていますから、オフィスの働きやすさとセキュリティレベルを同時に高めていけます」(平尾氏)

 このように顔認証技術は、利便性と安全性の両立を可能にする仕組みとして、幅広く活用され始めている。中堅・中小企業であれば、まずは顔認証を利用して長年の課題だった印刷物の情報管理とコスト削減に取り組みつつ、より良いオフィス環境の実現に向けてPCや入退管理などにも広げていけるだろう。

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提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2017年2月28日