「データ分析ツールは“大人のオモチャ”のような存在であればいい」――カブドットコム 齋藤社長(2/4 ページ)

» 2017年01月26日 08時00分 公開
[寺澤慎祐ITmedia]

セルフサービスBIを社員に使わせるには?

参加者C: 当社もBIツールを使っていますが、なかなか活用が広がらないのが現実です。ダッシュボード的な使い方はしても、シミュレーションや予測という高度な使い方ができていない。当社は海外拠点でもツールを展開していますが、海外の人は使っても日本人はなかなか使わないし使えない。カブドットコムでは、なぜ10%弱もの社員が使えているのですか?

齋藤氏: 会議や社外にもレポートを公開していて、作成者を記載しています。そうすると見せて恥ずかしいものは作れないし、カッコつけるために皆頑張ります。レポート作成者は“縁の下の力持ち”ではなく、前面に出すようにしていますね。コンテストを開いてキレイなレポートを表彰することもあります。

 加えて、ユーザー部門の支援がモチベーションになっていることもあります。ユーザーが欲しいのは二次加工データで、生データではありません。「このデータは計算して蓄積しておいた方がいいよな」という同僚への気遣いが大事で、あらかじめ集計したり、並べ替えたりしておくといい、ということを知る楽しさがあるのかもしれません。

寺澤: 2次加工をしているのは、DWHを管理するシステム部門なのか、BIツールを使うユーザー部門なのか、どちらですか?

齋藤氏: その両方ですね。ユーザー部門はどのようなデータが欲しいのか、意外と分かっていないもので、BIツールやDWHを使う立場で気付く人間が「こんなのはどう?」という軽いスタンスで作っています。両方の部門でそれができる人がいるのは、IT部門とユーザー部門のジョブローテーションをしていて、社員のITリテラシーを高めるようにしているからだと思います。

寺澤: 「10%程度の人がBIツールのヘビーユーザーで、30%程度の人がそれなりに使える」ということでしたが、ツールを使わせる人はどう選んだのでしょう?

齋藤氏: 最初は、「データベースのプロ」「スーパーExcel使い」そして「Excelをそれほど使えない人」の3人を選びました。この3人にトレーニングを受けさせて、BIツールを使えるようにした。その後にはこの3人からの推薦で使い手を増やしていきました。

photo Tableauは無料トレーニングのコースを用意している

寺澤: 先ほどの方も言っていましたが、やはりBIツールは使いこなせない人も多いと思いますし、Excelの延長上でしか使えていないという話もよく聞きます。

齋藤氏: まず、紙で見せるからダメなんですよ。印刷した時点でExcelもBIツールもほとんど変わらなくなってしまいます。当社も役員会議では印刷した紙を配布しますが、議論や分析をするときは、紙ではなくディスプレイを見ながら、BIツールのエキスパートがさまざまなデータをインタラクティブに操作して、最適解を見つけようとします。紙なのか、オンラインなのかは目的で分かれますよね。

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