デジタル時代に考えるべきアナログの感性と情報の使い方ハギーのデジタル道しるべ(1/2 ページ)

「デジタルビジネス」なる言葉も出てくる昨今のITだが、デジタルが持てはやされる中で、何かが抜け落ちてはいないだろうか。筆者が現場教育の中で感じた傾向から、情報活用のポイントを考えてみたい。

» 2017年01月27日 08時00分 公開
[萩原栄幸ITmedia]

 筆者が企業から受けるコンサルティングの依頼の中に、新人教育がある。ただ、企業によっては現場に足を運ぶ頻度が多くても月に数回程度、メールやメッセンジャーでのやり取りを求められる場合も多い。実際に足を運んで依頼企業の文化や習慣を理解してから講義などを行いたいが、それが難しい場合は依頼に応じるべきか悩む。

 そのような制約の伴う依頼を引き受けた場合でも、受講者がなるべく落第しないように気を付けているが、実際に指導するとやはり個人差が出てくる。そこで2016年に実施したアンケートの結果を分析してみると、デジタルとアナログの情報活用において、ある傾向が見えてきた。

優れた人にみられる「情報」の活用手法

「情報」をうまく使う人とは?(画像はイメージです)

 まだ因果関係をきちんと分析しきれていないが、その傾向とは、「洞察力」が優れている受講生の情報活用にあった。洞察力に優れた受講生は、ニュースソース――ここでは情報セキュリティに関する話題の入手先――にデジタル情報とアナログ情報をバランス良く活用しており、一般の受講生に比べてもその差は圧倒的だ。

 デジタル情報とは新聞のデジタル版やまとめサイト、動画共有サイトなどであり、アナログ情報とは新聞や雑誌といった紙媒体である。どちらかを一方的に利用している受講者は、例えペーパーテストには強くても、知識を応用した洞察力や問題解決能力はかなり低い傾向を示した。サンプル数が少ないので参考程度だが、この結果はとても興味深い。

 筆者は、このような傾向があるのではないかと以前から予想しており、アンケートを実施したことがある。受講生でもニュースソースは複数確保しているだろうと思い、アンケートでは「あなたが思いつく限りのニュースソースを挙げてほしい」と尋ね、さらに「その中で重点的に利用していると思うものを3つだけ挙げてほしい」と質問した。

 その結果、一人の受講生が閲覧するニュースソースの数は14ほどだった。これは思いつく範囲で挙げられた数となることから、本当に活用しているものを把握する目的で上位3つを回答してもらったわけだ。そこで挙げられたニュースソースの傾向から、受講生を次の3つのグループに分類した。

  • 3つともデジタル情報のみを挙げたグループ
  • 混在しているグループ
  • 3つともアナログ情報を挙げたグループ

 洞察力に優れた受講生が「混在しているグループ」に多いことは、上述した通りである。

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