登場から5年、Surfaceはどこに向かうのかMicrosoft Focus(2/2 ページ)

» 2017年02月01日 08時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
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Surface新製品群で目指すポジショニング戦略とは?

 日本において気になるのは、米Microsoftが2016年10月に発表した新製品群の、日本市場への投入時期だろう。同社はデスクトップ型の「Surface Studio」のほか、機能強化したSurface Bookを発表。さらに、新たな入力デバイスとして「Surface Dial」も発表している。正確な時期は発表されていないものの、同社では、「間もなく日本でも発表できるだろう。日本はSurfaceを高く評価している市場であり重要な市場。期待してほしい」とする。

Photo クリエイティブユースに最適化した形状の「Surface Studio」

 これらの新製品に共通しているのは、クリエイティブユースに最適化した仕様になっている点だ。

 Surface Book以降のSurfaceがクリエイターからの評価を集めていることに加え、Windows 10もアップデートにおいてクリエイティブ機能が強化されるなど、Microsoftとしてその方向性を加速させていることが分かる。初のデスクトップ型となるSurface Studioも同様の方向性を示している。

 同社はSurface Studioを、「“デスクをスタジオに変える”製品で、プロフェッショナルユース、クリエイティブユースに最適なもの」と位置付け、「個人が持つ“キャンバス”としては、最も大きなものになるだろう」という。

 Surface Studioの主要なターゲットは、確かにデザイナーやフォトグラファー、建築家といったクリエイターになるだろう。また、CADを利用するエンジニアなどにも適している。

 その一方で同社が強調しているのが、「Surface Studioは、クリエイターだけのものではなく、生産性を高めたいと感じている全ての人のためのデバイスである」という点だ。

 これはSurfaceの基本コンセプトの1つであり、これまでの製品でもオフィスワーカーや学生の生産性向上を提案してきた経緯があることは見逃せない。

 実際、カメラのクオリティが高いSurface Studioは、エグゼクティブのテレビ会議システムにも適しており、OfficeのドキュメントやPDFなどの編集や閲覧にも向いている。「ファーストクラスの環境を提供し、エグゼクティブの生産性を高めることができる」ことからMicrosoftでは、より幅広い利用に向けた提案を行っていく姿勢を見せている。

Surfaceファミリーで目指す「クリエイティビティ」戦略

 一方、同社が“究極のラップトップ”と位置付けるSurface Bookについては、新たに発表した「Surface Book with Performance Base」が従来モデルに比べて2倍以上のグラフィック処理能力を実現するなどの機能強化を図っている。

 もう1つの新製品の目玉であるSurface Dialも、これまでにないユニークなデバイスだ。Surface Studioなどの機器と組み合わせて使うもので、ディスプレイの上に置いて長押しすると操作メニューが現れ、ダイヤルを回すことでさまざまな操作ができる。

Photo PCに新たなユーザー体験をもたらすSurface Dial

 Surface Dialは、従来のマウスやキーボード、タッチ操作だけではインタフェースに不十分な領域があると考えた同社が、新たなインタフェースとして提案したものである。ここでも新たなカテゴリーの創出という挑戦の姿が感じられる。同社では、「今後は、サードパーティーに対して、Surface Dialの仕様をオープンにして、普及を促進したい」と語る。

 Microsoftは今後の製品戦略の中で、“クリエイティビティ”を重要な領域に位置付けている。その方針が、Surfaceの製品戦略のなかでも、明確に示されていると言っていいだろう。5年目以降の製品づくりの方向性が、これらの製品で明示されたといってもいい。

 だが、その一方で、5年目の節目に大きな出来事が起こった。それは、デバイス担当として、Surface事業をリードしてきたブライアン・ホール コーポレートバイスプレジデントがこのほど、米Microsoftを離れることになったからだ。

 同氏は、スティーブ・バルマー前CEOの初代スピーチライターとしても知られ、22年間に渡り、Microsoftで活躍してきた。Surfaceの新製品が発売されるたびに日本を訪れ、大きな身体を揺らしながら新製品の実演を行っていたことも印象深い。

 ホール氏は、ワイヤレスイヤフォンなどの開発を行うスタートアップ企業のDoppler LabsのCOOに就任。新天地での活躍が期待されるところだ。

Photo 今後、マーケティング戦略の中心的役割を担うユセフ・メーディ氏(画面=左)と、これまでSurface事業をリードしてきたブライアン・ホール氏(画面=右)

 Surfaceに加えて、Xboxを除くマイクロソフトブランド製品(ファーストパーティー製品)全てのデバイスマーケティング責任者であったホール氏の退任に伴い、Microsoftでは組織を再編。今後は、ウィンドウズ&デバイス担当コーポレートバイスプレジデントのユセフ・メーディ氏が、マーケティング戦略の中心的役割を担うことになる。

 Surface発売から5年目という節目の年となる2017年は、新たな体制の元で、進化を遂げるという意味でも大きな変化がありそうだ。

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