競合が戦々恐々!? NTTグループが基幹クラウドへ本格攻勢Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2017年02月13日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]
前のページへ 1|2       

NTTデータがオラクルのクラウドを活用した事業を推進

 一方、NTTデータは2月7日に開いた2016年度第3四半期(2016年10〜12月)の決算会見で、2016年10月に発表した「オラクルのクラウドを活用した事業推進」を今後の戦略的な取り組みの1つとして挙げた。

 オラクルのクラウドを活用した事業推進とは、NTTデータと同社の子会社であるNTTデータ先端技術、日本オラクルの3社が協業し、オラクルのパブリッククラウドサービス「Oracle Cloud Platform」と同様の機能をユーザー企業のデータセンター内で利用できる「Oracle Cloud at Customer」を活用した取り組みのことである。NTTデータはこのOracle Cloud at Customerを自社の開発環境へ組み込むとともに、それをベースとしたさまざまなサービスを展開していく考えだ。

 ちなみに、Oracle Cloud at Customerは企業のクラウド利用環境において図3のように位置付けられる。すなわちハイブリッドクラウドを構成する形だが、オンプレミスの基幹システムをクラウドへ段階的に移行させる1つの手段でもある。システムインテグレーターとしてオンプレミスの基幹システムを手掛けてきたNTTデータとしては、そのクラウドプラットフォームの1つとしてOracle Cloud at Customerを適用していくものとみられる。

Photo 図3 企業のクラウド利用環境における「Oracle Cloud at Customer」の位置付け(出典:NTTデータの資料)

 筆者が興味深く感じたのは、NTT ComがSAPのシステム、NTTデータがオラクルのシステムを対象に、クラウドへの移行支援に向けて新たな取り組みを始めたことである。SAPのERPおよびオラクルのデータベースは基幹システムのソフトウェアとして広く利用されているだけに、これらのクラウド化が進めば、つまりは基幹システムのクラウドへの移行が促進されることになる。

 NTT ComとNTTデータの間でこうした新たな取り組みについてすみ分けがなされているわけではないだろうが、NTTグループとしてみれば、両社の動きは基幹クラウドへ向けて本格攻勢に出た格好となる。これは競合他社にとって脅威だろう。

 とはいえ、NTTグループにも課題はある。例えば、NTT ComとNTTデータにおいても、これまでは通信キャリアとシステムインテグレーターとしてすみ分けされていたが、クラウドではバッティングする事業領域が出てくる。グループとしてこれまで歴史的な背景はあるだろうが、今後さらなるグローバル展開に向けてメガクラウドベンダーと戦っていくためには、何らかの再編が必要になってくるかもしれない。

 その議論はまた別の機会にするとして、まずはNTT ComとNTTデータの新たな取り組みが国内の基幹クラウド市場をどれだけ活性化させるか、注目しておきたい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ