データ分析で食品ロスを「3割減」――気象×ビジネスの可能性(2/3 ページ)

» 2017年02月15日 08時00分 公開
[寺澤慎祐ITmedia]

地球全体の気象データをシミュレーション

photo 日本気象協会 防災ソリューション事業部 水防ソリューション課の吉開朋弘氏

 定量的な気象データは観測値、統計値、予測値の3種類がある。観測値とは天気、気温、湿度、気圧、風向、風速、日射量、積雪深といった、気象観測装置から得られるいわば生データだ。主に防災目的で使われるため、非常に厳密な数値が求められる。観測施設は全国に有人無人含めて1500カ所以上あり、最大140年分の観測データを蓄積しているという。

 蓄積された観測データから統計的な分析ができる。統計値とは、平年値、過去観測値、真夏日、真冬日、梅雨入り、梅雨明けといった観測値の履歴を整理したデータだ。

 3つ目の予測値は、気象データそのものから予測値を算出する。最新の2週間確率予測、過去の1カ月予測気温、最近の7日間平均気温の実況と確率予測資料の推移など数値予報による計算結果などを指す。

 「仕組みを簡単に言うと、地表を格子に区切り、その上空(高度数キロ〜数十キロ以上)部分も区切って立体的に気温、湿度、気圧、風速などの観測値を当てはめ、時間的な変化を計算することで数値予報ができます。コンピュータの性能が上がり、さまざまな予測データを生み出せるようになったことで、地球全体のさまざまな気象状況をシミュレーションすることができるようになりました。」(吉開氏)

photo 利用可能な気象データは3種類に分けられる

 予測値は1〜2日程度先であれば、実用に耐え得る予測ができるが、予測しやすい項目としにくい項目があるそうだ。一番予測しやすいのが気温で、一番予測にしくいのが風とのことで、気温の長期的な変化傾向であれば半年先でも予測可能になってきているという。

 気象データのフォーマットは、最近は文書情報とともにXML形式で配信されているが、「このままではデータとして使いづらい面もある」と吉開氏。一般企業が使えるようにするために、どうデータを加工をすればいいかを検討しているそうだ。

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