“混在環境の複雑化”は解決できる!クラウド、オンプレ混在時代の「統合運用管理術」

クラウドで複雑化する運用管理、もう限界 属人化からの脱却法とはWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2017年03月21日 10時30分 公開
[松岡功ITmedia]
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運用における最大の課題は属人化からの脱却

 さて、ここからが核心である。では、マルチクラウドの課題の1つであるシステム運用における課題はどのようなものか。それを示したのが図2である。

Photo 図2 システム運用の課題

 この図では、運用しているシステムとして「オンプレミス」のほか、IIJのIaaS「IIJ GIO」、MicrosoftのIaaS「Azure」およびSaaS「Office 365」が挙げられているが、注目すべきはそれぞれに運用形態が異なっており、“サイロ化”してしまっていることである。この現象は図にあるように、実はネットワークやセキュリティでも起きていることだが、とりわけ運用がサイロ化して問題になるのは、それぞれの運用ノウハウが属人化してしまうことである。

 立久井氏はこの点について、「運用が属人化してしまうと、システム全体としての運用負荷が増加し、費用もかさむことになる。これでは、クラウドを活用してビジネスの課題に対応したアジリティ(俊敏性)を向上させようとしても、むしろオンプレミスだけで運用していたときよりも低下してしまいかねない」と指摘した。

 そこで、そうしたシステム運用の課題を解消するために、IIJが2017年4月から提供を開始するのがIIJ統合運用管理サービスである。同社によると、主な特徴は「マルチクラウドの一元管理」「自動化による運用効率化」「見えない変化と異常への対応」の3つだという。(図3参照)

Photo 図3 IIJ統合運用管理サービスの概要

 マルチクラウドの一元管理では、クラウドサービスごとの異なる管理ポータルやサポート窓口を統一化。また、APIの異なる複数のクラウドサービスから構成やリソース情報を自動取得するため、ユーザーはAPIの差異を意識することなく、管理ポータルで一元的に管理することが可能だという。

 自動化による運用効率化では、年間1000万件以上のアラートを自動処理している実績を生かし、膨大なアラートの中から対応が必要なアラートを分類するフィルタリング機能を提供。また、原因特定に時間を要する複雑な障害であっても、過去の対応履歴を活用して最適な復旧手段をナビゲートすることができるとしている。

 見えない変化と異常への対応では、監視アラートの閾(しきい)値を運用者が設定するのではなく、過去の傾向から常に適切な閾値に自動で設定するため、ディスク容量などの利用傾向が変化した場合もその推移を予測し、余裕を持った通知を実施。閾値監視では気付かないシステムの不調(サイレント障害)を検知することで早期の対処が可能としている。

 鈴木氏は会見で、「新サービスはIIJが創業以来25年をかけて蓄積してきた運用管理技術を結集したもの。まだまだこれから拡充すべき点はあるが、多くの日本企業がシステム運用で頭を悩ませている“属人化”の問題を解消し、コスト削減とアジリティ向上に寄与できるのではないかと考えている」とも語った。すなわち、属人化からどう脱却するかが、マルチクラウド時代の運用管理の大きなカギとなりそうだ。

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