日立、施工現場での作業者の行動を見える化する「動態管理サービス」を発表

日立製作所が、ビーコンを活用し、施工現場での作業者の行動を見える化する「動態管理サービス」を発表。工場や社会インフラなどの国内外の施工会社向けに提供し、作業効率の向上と安全性の確保に貢献する構え。

» 2017年03月27日 10時00分 公開
[ITmedia]

 日立製作所(日立)は3月24日、施工現場内に設置したビーコンとスマート端末を活用し、作業者や現場監督者の行動を定量的に見える化するシステムを開発した。2017年6月から同システムを活用した「作業者の動態管理サービス」の提供を開始する。

 同社は竹中工務店と共同で、2016年3月から5月までシンガポール共和国のチャンギ国際空港第1ターミナルの拡張工事現場でフィールド試験を実施し、同システムの有効性を確認。その後2016年6月から、適用市場の検討、製品化に向けたアプリケーションの開発を行ったという。

 施工現場では、少人数の施工管理者や現場監督者に対して多数かつ多業種の作業者がいるため、作業者一人一人の行動を詳細に把握するのが困難だという。さらなる作業効率の向上や安全性確保のためには、施工管理者や現場監督者の経験、ノウハウが必要だが、国内において熟練管理者が減少傾向にあることに加え、海外で施工を行う際に現地で登用する人材のマネジメント能力も大きな課題となっている。さらに、金属が多く用いられる施工現場では、無線電波を利用して位置を計測する場合に、電波ノイズが発生し、測位誤差が大きくなるという技術的な課題があった。

 同社は、長年にわたり手掛けてきた工場や社会インフラなどの施工経験やノウハウと先進ITを活用し、計測データを補正する独自のアルゴリズムを開発し、電波ノイズによる影響を低減する高精度な位置計測を実現。施工現場内に複数設置した省電力無線機器のBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンと、作業者や監督者が携帯するスマート端末によって作業者の詳細な位置情報を取得し、作業者一人一人の行動を定量的に見える化するシステムを構築したという。

 スマート端末内の気圧センサーを利用し、垂直方向の位置も同時に計測しており、作業者の高所作業などを検知することも可能。また、計測した位置情報を基に、滞在エリアや滞在率、作業者同士のコミュニケーション状況などを作業種別、所属会社、作業班、作業者個人などのさまざまな単位で集計し、時系列に見える化する機能も装備している。

Photo 動態管理サービスの概要

 同社では、こうした行動の見える化や詳細な位置情報の取得などにより、作業者の行動に起因する問題点を早期に把握し、作業効率の向上や安全性の確保に向けた改善につなげられるという。例えば、作業者が機材を取りに行くのに長時間かかっている場合や、特定の作業エリアに作業者が集中している場合には、前日の作業状況を踏まえて作業者の配置や機材置き場のレイアウトを見直すといった改善策を提案。これにより、施工管理者や現場監督者は、人・機材の最適配置や効率な作業スケジュール化を実行できるという。

 「動態管理サービス」のサービス提供開始は2017年6月。加えて、「建物の3次元データを基に作業者の動きと作業の進捗状況などの情報を組み合わせた機能」は2017年10月、「規制エリアに近づいた際に警報を発する安全管理システム」は2018年度の提供を予定。価格はいずれも個別見積もり。

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