アップデートにトラブルは付きものですし、環境によって状況は変わるもの。私の環境でトラブルがあったからといって「アップデートは怖い、アップデートをやめよう」などとは考えないようにしてください。
MacであれWindowsであれ、どんなトラブルが起きたとしても、「バックアップ」があれば安心できるはずです。起動しなければバックアップを戻せばいいだけですからね。
特にmacOSは「TimeMachine」という標準のバックアップ機能がよくできていて、画面の指示通りに操作すれば復元できるだけでなく、Macを買い換えたときの移行手段として、まったく同じ環境を復元することすら可能です。それを知っていたので、特に動じることはありませんでした。……次の画面を見るまでは。
無情にも「33時間」という残り時間が表示されたのです。
つまり、“バックアップの復元に丸1日以上かかる”という表示が出てきたのです。これまではバックアップの復元が必要な移行作業のときにはUSBでHDDを直結し、そこから戻していました。しかし今回はネットワーク経由での復元。しかも最近無線LANの調子が悪く、データの転送にここまでの時間がかかってしまうという状況に陥ったのです。
これを見たときには頭を抱えてしまいました。明日の仕事に間に合わない!
ここから私が得た教訓は、「バックアップは自動で取れる環境を作る」「アップデート前にはバックアップを行う」ということ。そして、「アップデートは余裕のあるときに、でも、なるべく速やかに行う」ということです。さらに今後は「バックアップが必要な対象をシェイプアップすること」も重要だと思うようになりました。
33時間もかかるファイルの中身は、私の場合「音楽ファイル」と「写真ファイル」、そして「過去1年ほどの仕事で使ったファイル」など。どれもすぐに必要なデータではなく、音楽ファイルはApple Musicで、写真ファイルはiCloudで、過去のファイルはNASでそれぞれクラウドにアップロード済み。バックアップで復元する必要がないものでした。
ということは、そもそもバックアップのやり方が間違っていたのかもしれません。TimeMachineも登場からかなり時間がたっています。もしかしたら、クラウドストレージがある前提の「スリムなバックアップ/復元」が必要な時代なのかもしれません。
結局、無線LANではなく有線でHDDを接続し、12時間ほどかけて復元したMacでこのコラムを書いているところです。バックアップの日を迎えた皆さんも、いま一度「転ばぬ先のバックアップ」を考えてみてください。
ちなみに、iOS 10.3.1は何ごともなくアップデートできました。普及台数が多いスマートフォンはターゲットになりやすいので、アップデートは速やかに行ってください。iOS 10.3.1はファイルシステムと呼ばれる仕組みに大きな変化があるので、こちらもバックアップは確実に!
さらに2017年4月11日にはWindows 10も「Creators Update」が配信されるので、こちらもバックアップとアップデートを忘れずに!
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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