接客・営業職、7割強がプライベートなSNSアカウントを「顧客に聞かれて教えたことがある」

ワークスモバイルジャパンが、「接客・営業職におけるプライベートSNSアカウントの業務利用実態調査」の結果を発表。ビジネスシーンでも、「LINE」などのプライベートなSNSアカウントがコミュニケーションに利用されている実態が改めて明らかになった。

» 2017年04月05日 17時10分 公開
[園部修ITmedia]

 ワークスモバイルジャパンが4月5日、自社で実施した「接客・営業職におけるプライベートSNSアカウントの業務利用実態調査」の結果を発表。ビジネスのコミュニケーションに、「LINE WORKS」のようなセキュアなツールではなく、「LINE」などのプライベートなSNSアカウントが利用されている実態が改めて明らかになった。調査は2017年3月10日〜3月12日までの期間に、18歳から49歳の正社員、派遣社員、契約社員で、所属企業の業務上、週3回以上接客、営業で顧客と接している人に対して行っている。サンプル数は824(男性412人、女性412人)。

 営業や接客などを担当する会社員が、顧客から連絡用にプライベートで使用しているSNSアカウントを聞かれるケースはけっこうな頻度であるという。かつて私用携帯電話の番号を聞かれて教える、というケースがあったのと同じように、SNSのアカウントを聞かれて答えざるを得ないシーンがあるようだ。

 営業や接客を担当する会社員で、顧客からプライベートのSNSアカウントを聞かれたことがあるか、と質問したところ、約35.6%が「ある」と回答。実際に聞かれた場合、76.5%が「教えたことがある」という。

ワークスモバイルジャパン 調査 76.5%が「顧客からプライベートのSNSアカウントを聞かれ、教えたことがある」

 教えたことがあると回答した人に、教えた理由を聞いたところ、42.4%が「業務上、断れない/断りづらかった」、38.8%が「業務上、教えた方が都合がいいから」と答えており、プライベートなSNSアカウントを、やむを得ず業務に利用している実態が垣間見える。

ワークスモバイルジャパン 調査 教えた理由は「業務上、断れない/断りづらかった」が最多

 しかし、プライベートなSNSアカウントを教えた結果、「業務とは関係ない連絡が来たことがある」人は71.9%。かなりの割合で業務外の連絡にまで使われてしまうようだ。SNSアカウントを教えなかったと回答した人にその理由を聞くと、57.1%が「業務と関係ないプライベートな連絡が来るのは嫌だから」、54.1%が「プライベート情報が流出してしまうから」と答えており、ユーザーもリスクは認識していることが分かる。

ワークスモバイルジャパン 調査 アカウントを教えた結果「業務とは関係ない連絡が来たことがある」人が71.9%
ワークスモバイルジャパン 調査 教えなかった理由は「業務と関係ないプライベートな連絡が来るのは嫌だから」「プライベート情報が流出してしまうから」

 こうしたことが起きてしまう背景には、企業でSNS(特にチャットツール)の利用に関して、対策やルールが用意されていないことが挙げられる。前出の、プライベートなSNSアカウントを教えなかった人たちも、「企業から禁止されているから」教えなかった、という回答は24.5%しかなかった。回答者の所属企業では、「業務で使用することを推奨されてはいないが、対策やルールがない」という企業が52.5%と過半数を占め、7.2%と小数ながら、「対策やルールがなく、業務で使用することを推奨されている」企業もあるという。

ワークスモバイルジャパン 調査 プライベートのSNSアカウントを業務に使用することについて、ルールを設けている企業は少ない

 一般的に、従業員にLINEやFacebook MessengerなどのチャットツールやSNSアカウントをビジネスに利用されることは、情報セキュリティやコンプライアンス上の大きなリスクになり得る。ログの取得や監視ができない環境下で、機密情報がやり取りされたり、誤送信による情報漏えいが起きたりする危険がある。また、案外経営層がこうしたリスクを認識しておらず、意識せずに使ってしまっているといったケースもある。情報システム部門や総務部門の立場からすると、しっかりとルールを作って運用することが望ましい。

 コンシューマーユーザーの間で、LINEが広く普及したことから、ビジネス向けのチャットツールとして、似たようなインタフェースを持つアプリケーションが多数登場している。ワークスモバイルは、「LINEとつながるビジネスチャット」と銘打って「LINE WORKS」を展開しており、こうした“ビジネスでのチャットツール活用”を安全に行える環境を提供している。現場でチャットによるビジネスコミュニケーションが広がる兆しがあるなら、こうしたビジネスチャットの導入をぜひ検討すべきだろう。

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