ミドルウェアの風雲児が目を付けたピュア・ストレージ、データ基盤の再定義へ

ピュア・ストレージは同社初となるフルNVMe対応の「FlashArray//X」を世界同時発表し、東京の記者発表会にはディーツェンCEO自ら駆け付けた。

» 2017年04月12日 09時00分 公開
[浅井英二ITmedia]
そろいのネクタイを締めたディーツェンCEOと田中新社長

 「センサーなどから生み出される膨大なデータが企業に競争優位をもたらそうとしている中、ストレージもクラウド時代に適したものへと進化を遂げようとしている。新世代のオールフラッシュストレージを市場投入することで、Pure Storageを真のナンバーワンブランドとして確立したい」

 そう話すのは、新製品発表のために来日したPure Storageのスコット・ディーツェンCEOだ。かつてJavaアプリケーションサーバのイノベーターとして、WebLogicやBEA Systemsなどで要職を務めてきた彼だが、2010年には創業間もないオールフラッシュストレージベンダーのCEOを引き受けた。当時はまだまだ高価で信頼性にも課題があったフラッシュストレージだが、同社は汎用的なSSDに独自開発のストレージ管理ソフトウェアを組み合わせ、市場のすそ野を拡大しようと考えていた。既にIBMなどが大きなシェアを占めていたが、インライン重複排除、高率の圧縮、無停止のアップグレード、常時暗号化など、次々と新しい機能をソフトウェアによって投入し、併せて、まるでクラウドサービスのように常に最新のストレージが利用できるEvergreen Storageプログラムも提供するなど、次第に市場をリードするプレーヤーとなった。1月末締めの2017会計年度の売り上げは前年比65%増の7億2800万ドルに達し、いわゆるビリオンダラー企業への仲間入りも射程に捉えた。

 「フラッシュストレージは四半世紀の歴史があるが、先行するベンダーはメインフレームやクライアント/サーバといった旧世代のアーキテクチャーに対応してきたわけで、われわれのようなイノベーションを顧客に提供できていない。Pure Storageは、四半世紀の歴史を一気に飛び越え、クラウド時代にふさわしいものへとデータプラットフォームを再定義できる」とディーツェン氏は話す。

ビッグデータの多くはオンプレミスに

 汎用SSDをベースとした製品開発からスタートした同社だが、4月11日には同社初となる完全なNVMe対応を果たした「FlashArray//X」を世界同時発表し、東京の記者発表会にはディーツェン氏自ら駆け付けた。

 NVMeは、SSDのために開発された次世代の接続規格。ソフトウェアからフラッシュモジュール、コントローラーまで、エンドツーエンドで最適化されたFlashArray//Xは、レイテンシーが最大半減、書き込みの帯域幅は最大2倍、パフォーマンス密度は最大4倍まで高められるという。フラッシュモジュールも1枚で最大18.3テラバイトの物理容量があり、わずか3Uのベースシャーシで1ペタバイト以上の有効ストレージを提供できるようになる。

 2020年には世界で生成されるデータ量が44ゼタバイトに達すると予測されており、パブリッククラウドサービスに多くの期待が掛かるが、実のところ、インターネットのキャパシティがデータの増加に追い付かないのが現状だとディーツェン氏は指摘する。

 「パブリッククラウドはフラッシュストレージを導入するのに比べてコストが高くつくほか、WANの容量がネックとなるため、ビジネスにリアルタイムで洞察をもたらすだろうビッグデータの多くはオンプレミスで管理されることになる」(ディーツェン氏)

 新たなフラグシップ製品の投入に合わせるかのように着任した日本法人の新社長、田中良幸氏も、「いわゆる“箱売り”でも負けないが、フラッシュストレージがどんなビジネスやサービスを実現できるのかにこだわりたい。業界ごとにビジネス変革のソリューションをつくり、パートナーと一緒に企業に提案していきたい」と話す。

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