「全力で目の前の仕事をしていればよい」という時代は、はるか昔に終わった。
何が正解なのか分からない中、手探りで、いろいろな人の知恵を借りながら、必死に新しい何かを生み出さなければならない。
そんなときに社内の抵抗にあえいでいる場合ではない。社内でいがみ合っている場合ではない。他社としのぎを削り、海外企業と渡り合うために、会社が一丸となって変革を起こしていかなければならない。
にもかかわらず、「社内調整」という名の「抵抗」に、変革のスピードや勢いが大幅にそがれている。誰もが会社をよくしたいと思っているはずなのに、なぜこうなってしまうのか……。ここにメスを入れるために、この本を書いた。
「人の態勢・気持ち」≒「抵抗」にフォーカスを当てたノウハウ本が世にほとんどなかったので、今回ケンブリッジのノウハウをまとめることにした。
三枝匡さんの企業変革3部作は、「人の態勢」「抵抗」を重視した素晴らしい本だが、ほとんど実話であり、企業変革のドキュメントである。それゆえ、「三枝さんのような変革ができたら理想だけど、彼のようなスーパーマンだからできること……」という見方も多い。
本書では、抵抗と向き合うときに気を付けるべきセオリー、原理原則をまとめた。ごく普通のビジネスパーソンでもできることばかりだ。むしろ企業に勤める全てのビジネスパーソンがこの原理原則を押さえていれば、変革はずっと楽になるだろう。それゆえ、内容はかなり泥臭い。
ロジカルなコンサルタントの世界とは少しイメージが違うかもしれない。しかし日本企業の変革には泥臭さやちょっとした心持ち、ほんの少しの工夫が絶対に欠かせないのである。本書では徹底的にそこにフォーカスを当てている。
※企業変革のロジカルな部分≒「企画の質」の部分は、前著『業務改革の教科書』を参照していただきたい。
今回から7回に分けて、「抵抗勢力との向き合い方」を少しずつ、解説していこうと思う。第1回の今回は、予告編。次回は「2. 抵抗とは何か?」について解説したい。
コンサルティング会社、ケンブリッジのコンサルタント。1級建築士。ファシリテーションとITを武器に変革プロジェクトを支援しています。
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