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» 2017年06月14日 07時00分 UPDATE

柴崎辰彦の「モノづくりコトづくりを考える」:SXSW 2017観戦記 IBM流デザイン思考で教育現場はどう変わる?――IBMの発想(後編) (1/2)

“IT界のパリコレ”ともいわれる「SXSW 2017」で見聞きした刺激的なあれこれをレポート。今回もIBMの展示から、IBM流デザイン思考による教育現場での共創例や、高齢者向けスマートハウスの試み、Watsonで動かせるロボット「TJbot」などを紹介します。

[柴崎辰彦,ITmedia]

この記事は柴崎辰彦氏のブログ「柴崎辰彦の「モノづくりコトづくりを考える」」より転載、編集しています。


 前回に続き、“IBM is making”を掲げるIBMの展示から、今回は、「PERSONAL」と「HEALTHIER」をテーマにしたものを紹介します。

Photo IBMの展示会場では、入場の際、黒服の警備員(右端)にパスポートの提示が必要だった

8. お天気ステーション(WEATHER STATION)

 ソーシャルイノベーション領域のデモ。「天気を制御することはできませんが、天気の体験を制御することはできる」というメッセージとともに展示されていました。

 センサーで収集された気象データが集計され、可視化されています。

Photo センサーらしき機器と一緒に展示

9. 共創(CO-CREATION)

 教育現場における「IBM Watson Education」と「IBM Design Thinking」に関するデモ。「共創とは具体的には何をどうすることなのか?」を示すために、教育現場を題材にしたIBM流デザイン思考のデモ展示を行っていました。

Photo 参加者の意見を問うような演出も

 デザイン思考の実践に当たり、教育の現場で教師の仕事をしっかりと把握するため、教師の後をついていったり教室に張り付いたり、教師たちの会議に数えきれないほど参加したりしたとのこと。観察からのアイデアの変革を目指し、観察結果を基にワークショップを開き、教師たちと一緒に課題解決に向けた議論を重ねたそうです。そして、ワークショップで作ったアイデアを試し、そのフィードバックをもとに、さらに拡張を繰り返したといいます。

Photo 展示用の演出とはいえ、デザイン思考のアプローチが可視化されていて楽しい

 このプロジェクトで出たアイデアの1つが、「Student Dashboard」。教師は当初、生徒のパフォーマンスを示すグラフを見たいと考えていましたが、実際には成績を記録するためのツールが必要なことが分かり、そこからStudent Dashboardが生まれました。

 デザイン思考の考え方をもとにした課題抽出やアイデアだし、ワークショップ、プロトタイピング、実証実験というIBMのプロセスに、ユーザーとなる教師をも巻き込んでいる点が特徴的だと思いました。ユーザーもデザイン(設計)の課程に巻き込むことにより、ユーザーがその成果物を気に入りやすくなるというわけです。

 IBMは、技術面だけではなく、デザイン思考やワークショップなどの開発手法、共創の手法も実践しているというデモ展示でした。

10. オープンソースのbotプロジェクト(TJBot)

 IBMは、chatbotだけでなく、物理的な筐体を持つロボットを用いたインタフェースの研究開発に取り組んでいます。Watsonの各種サービスにユーザーが楽しくアクセスするための(キーボードやディスプレイとは異なる)インタフェースとして開発されたのが、このTJBotです。

 このロボットをコントロールするための指示を書くツールも用意されていました。

 オープンソースのプロジェクトとしていることによって、多くの人がアクセスし、多数のユースケースができるわけです。

Photo 子どもとの工作で作ってみたくなる愛らしいロボット「TJBot」

11. Internet of Caring Things(AGING IN PLACE)

 「IBM Research」がシニアのヘルスケアのためにIoTを使い、「AGING IN PLACE(住み慣れた地域でその人らしく最期まで)」をサポートする事例として、“高齢者のための未来の家”に関するデモを展示していました。

 その背景にあるのは介護問題。アメリカの高齢者は約4600万人いて、子どもの世話をしながら親の世話もしなければならない世代の人たちもたくさんいます。また、高齢化はアメリカだけの問題ではなく、世界中の問題となっています。

 この展示は高齢者向けのスマートハウスのデモで、キャビネットや椅子、冷蔵庫など、さまざまなところにセンサーを付けて、PCのやスマホなどから家の様子が分かるようになっています。例えば、「お母さんが今、この椅子に座っている」などといったことを離れた場所から知ることができます。

Photo アメリカの家庭内を再現した高齢者向けスマートハウスのデモ

 IBMはこれらの技術を「Internet of Things(IoT)」ではなく、「Internet of Caring Things(IoCT)」と名付けています(Care:ケア→気に掛ける、世話をする、介護する)。テクノロジーが人間をより人間らしくしてくれるという点が重要です。

 技術としては、スマートハウスの事例にInternet of Caring Thingsといった名前をつけて、一段大きな視点で技術の位置付けをしている点がうまいところでしょうか。

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