Watosonを利用したヘルスケアに関するデモ。ヘルスケアに関するデータの80%は、非構造データであるテキストデータだそうです。Watsonの自然言語処理技術は、診療に関するデータから構造的なデータを取り出すことができ、その結果を基に、その後の解析やアラートを実現できるということです。
医療専門家のためのヘルスデータのプラットフォームである「IBM Watson Platform for Health」は、ビジネスのためのプラットフォームではなく、医療におけるイノベーションを実現するためのプラットフォームという位置付けになっています。
おしゃれで機能的なヘッドフォン「Beats」やキーボードを使った音楽関係のデモも行っていました。
Watsonがビールの鑑定をしてくれるデモ。真偽はさておき、面白い試みでした。こうして、生活の中に新しいデジタルテクノロジーが徐々に浸透していくのでしょうか。
IBM版のchatbotのデモで、「面白い」と同時に「うまい」デモだと思いました。はっきりとした正解のない「性格判断」を題材としているので、その結果に同意できれば「当たってる」と思えますし、同意できなくても「そんな一面があるんだ」と思わせることもできます。
ここで使われている「Conversation」というAPIは、あらかじめ決めたシナリオに沿って対話を進められるとのこと。台本を書くことにより、その台本に沿った対話が生成できます。そのため、複雑な会話は実現できませんが、この性格診断では、基本的にシステムが質問してユーザーが答えるというスタイルに絞っているので、台本だけに沿ったデモでもそれなりに見せていました。
「Tone Analyzer」という、ポジネガ分類(Sentiment Analysis)の拡張版のようなAPIも使われています。専門家によると、恐らく、機械学習を使ってあらかじめ感情の情報が付与されたテキストから学習しているのではないとのこと。この手の分類問題は、問題の定義自体があやふやだったりします。例えば、複数の人に同じ文章を見せて、「書き手はどんな感情か」を尋ねると、意見が分かれることが多いようで、人間でも判断が揺れる問題ですが、ある程度の数の学習データがあれば、機械学習で判断できるようになるということです。そういうあやふやなものを扱うAPIを、性格診断という、結果の厳密さが問われないところで使っているのも、「うまい」ところだと思いました。
マーケティングと技術、その両者がこれほどうまく連携できている例は、実際のところ、少ないのではないのではないでしょうか。アドテク(ad-tech)といっても、よくある事例はad寄りだったり、tech寄りだったりしているように感じます。
メインフロアを離れ、屋上のルーフ(ROOF)に上がると、そこにはBARカウンターとネットワーキングの場が。いかにもアメリカらしいですね。開放感あふれるオープンエアの環境でちょっと息抜きできました。
富士通 グローバルサービスインテグレーション部門 デジタルフロント事業本部長代理。
著書『勝負は、お客さまが買う前に決める!』(ダイヤモンド社)。詳しいプロフィールはこちら。
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